携帯電話が普及したことで野生のゴリラたちが被害を受けている。2012年時点での世界でのマウンテンゴリラの生息数は約800頭、東ローランドゴリラは約15000頭といわれている。

携帯電話の回収でゴリラを救う


マウンテンゴリラに至っては、IUCN(国際自然保護連合)が作成する絶滅危惧種リスト「レッドリスト」に「近い将来における絶滅の危険性が極めて高い種」とされている。

ゴリラが減っている原因としては、森林伐採が大きな要因である。コンゴに住むマウンテンゴリラと東ローランドゴリラは、携帯電話に使用するレアメタルの一種タンタル採掘のために行う森林伐採の影響を受けている。伐採の邪魔であるという理由で殺害され、ゴリラの居場所がなくなっている。

携帯電話が全世界に普及していくとともに、森林伐採は加速化し、コンゴでは2008年時点で1950年代と比較して、森林の面積は半減した。

この現状に際して、携帯電話をリサイクルまたはリユースしてゴリラの保護活動を行う「ケータイゴリラ」というプロジェクトが2007年から展開されている。
使用済み携帯電話の回収を通して、本問題の普及啓発活動を行う。回収した携帯電話をリユースまたは、リサイクルすることで資金に変え、コンゴ民主共和国に住む野生のゴリラの保護活動を行う団体に寄付している。

リサイクルした場合は、1台あたり約50〜80円が、リユースした場合は1台あたり300円以上が寄付される。寄付先はポレポレ基金や国際ゴリラ保全計画などの現地のNGOである。

現在では、12000台以上が回収されている。

コンゴ民主共和国では1日1.25ドル以下で暮らす人の割合が59.2%(2006年・世界銀行)と最貧困国の一つにあげられている。彼らにとって、タンタルは貴重な収入資源の一つであり、貧困の一般人や武装勢力などから不法採掘されている。

成人識字率が67%(2009年・世界銀行)と教育推準が低く、法の概念がない人が多く、不法採掘だとも自覚していない場合が多い。「ケータイゴリラ」では、ヴィルンガ国立公園にも寄付し、パークレンジャーの活動資金に充て武装勢力や貧困の一般人の不法採掘を阻止し野生ゴリラを保護している。

しかし、この活動の推進により貧困の一般人によるタンタルの不法採掘を絶つことで地元民を死に追いやってしまう可能性もある。そこで、ポレポレ基金を通じ貧困の一般人の職業支援にも資金を充てることで、貧困の一般人の生活をつなぐ支援も行っている。(オルタナS副編集長=池田真隆)


ケータイゴリラ