アイセック東京大学委員会は海外インターンシップ説明会を開き、ナット・ウォング氏が基調講演者として登壇した。ナット氏はゲーミフィケーションの考え方を活用した寄付サイト「i-kifu(アイキフ)」の代表理事を務める。「アメリカのような寄付文化を日本に植え付けることが目標」と会場にいた100人弱の聴衆に話した。

講演を終えて記念撮影。(写真真ん中がナット氏)


アイセック東京大学委員会は、大学生の海外インターンシップ機会の提供及び受け入れを行う。今年で創立50年を迎え、メンバーは130人。アイセックは、世界110カ国・地域で6万人の学生が関わっている国際的組織。国内24大学に支部があり、東京大学委員会は日本で初めて創設された4支部のうちの一つである。

ナット氏はベトナム戦争時に感じた問題意識から、社会貢献に携わろうと決意した。「ベトナムでは学校に行けない子どもや、働けない子どもがたくさんいる。彼らのために何とかしたいと思った」と話す。考案した寄付プラットホーム「i-kifu(アイキフ)」は2010年度国際社会起業サポートセンター主催のコンペティションにおいてNEC賞を獲得した。

「エスカレーターと階段があったらエスカレーターを使いますよね。でも、ある人たちがみんなに階段を上らせようとしました。彼らが考えた方法は、ピアノを利用することでした。階段を上るたびにピアノの鍵盤が押される面白さに、多くの人が階段を上るようになりました。社会貢献はめんどくさいかもしれないけど、楽しくしたら多くの人が参加してくれるはずです」と話す。

ナット氏が社会貢献を流行らすための手法として注目しているゲーミフィケーション。2009年までは、ゲーミフィケーションという言葉を知らなかったという。ゲーミフィケーションとは、ゲームで用いられる手法を生かして、ユーザーを巻き込むこと。

ロールプレイングゲームを模した方法で、何かを購入する度に、消費者のレベルが上がり、そのレベルに適したポイントが付与されるものである。

例えば、アイキフのサイトでは、社会貢献活動をするNPO団体を選び、寄付やソーシャルメディアを利用した広報協力ができる。するとポイントが与えられる。ポイントのランキング制を実施し、最もポイントの高い人が表彰される仕組みである。現在、アイキフにはヒューマン・ライツ・ウォッチやカタリバなど40の団体が登録されている。

ナット氏は、講演の終わりに学生へのメッセージとして、海外へ旅することの大切さも訴えた。

「世界の多くの情報は英語で存在しています。英語を使えたら、たくさんの情報に触れることができます。英語はあなたが機会を手に入れるための大事な要素です。あなたの機会には、鍵がかかっている。あなたの力にも、鍵がかかっている。それを解くためには、外へ出ないといけません。英語で外へ飛び出せば、もっとたくさんの機会を手に入れることができるはずです」(オルタナS副編集長=池田真隆)


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