滋賀県東近江市役所は、地域ブランドである「近江の麻」で作られたシャツを着用する節電対策「三方よしクールビズ」を7月2日にスタートした。「三方よし」には、節電よし、体感よし、地域よしの3つの意味が込められている。湖東繊維工業協同組合と協力をして、地域資源を生かしての節電対策と地域の活性化が目的である。

東近江市長の西澤久夫さん(左)と湖東繊維工業協同組合理事長の福坂壽夫さん(右)


今夏の厳しい電力需給に対応するため2日、節電要請期間が始まった。関西電力や政府は昨年以上に厳しい節電を求めている。同市役所では、電力消費が多い時間帯の照明などの使用抑制、空調の温度を28度に設定、クールビズの推進などの節電対策を実施する。

地域ブランドに認定されている「近江の麻」は、鈴鹿山脈より溢れ出るわき水と、琵琶湖が生み出す湿潤な気候で育った。糸から仕上げまで産地内で一貫生産できることが特徴だ。麻の衣服は、吸湿性、放湿性、熱伝導性が優れているため、不快な体温を放熱して快適な冷涼感を与えてくれる。

東近江市の西澤久夫市長(59)は「昨年の原発事故以来、環境や電気に対して意識が高まってきている。私たちは近江の麻を使ったクールビズを行うことで、地域を盛り上げ、節電の夏を乗り切りたい。そして節電の意識を東近江市から、日本や世界に訴えていきたい」と語った。

西澤市長をはじめ、市の職員69名がクールビズの期間中「近江の麻」で作られたシャツを着用して勤務を行う。実際にシャツを着用した職員からは、「涼しく感じる」「肌触りがいい」などの声が上がった。(オルタナS関西支局特派員=北村洋樹)