「エシカル・ファッション」をテーマにしたセミナーに、フィリピンで活躍する社会起業家と日本人エシカルファッションデザイナーの二人が登壇した。これからの社会にエシカルはどのように表れるのかを話し合った。

写真右から志賀亮太氏、マーク・ホアキン・ルイス氏


登壇したのは、マーク・ホアキン・ルイス氏と志賀亮太氏。マーク氏は、フィリピンのゴミ山で生計を建てる女性たちと恊働し、廃棄された生地やオーガニック素材を活用して、ファッショナブルな服やアクセサリーを作っている。

志賀氏は、ファッションブランド「RYOTA SHIGA」のデザイナー。昨年、パリで開催された世界最大のエシカルファッションショーで日本人として初めて優勝をした注目の若手デザイナーの一人である。

「最終的なゴールはお金を稼ぐことではなく、幸福とは何かを探すことである」と話すマーク氏。マーク氏が運営する「Rag2Riches」では約4000人の女性を雇用し、ゴミ拾いを通じて服の製造をしている。女性たちは利益を得ると同時に尊厳も取り直せるようになったという。これからの社会には、利益と同時に尊厳を取り戻すビジネスが必須であると訴えた。

志賀氏は、「デザインには、今までの大量生産型社会から脱却していく可能性がある。服を通して、エシカルをまったく知らなかった人にもアプローチできる」と話した。

志賀氏は、自然に死んでいった動物の毛皮を使ったデザインを得意とする。毛皮を使うのはエシカルファッションとしては異例である。昨年のエシカルファッションショーで優勝したデザインも毛皮を使ったものであった。

志賀氏は、これからの社会でエシカルが表れてくる実感としては、「東日本大震災で人とのつながりを求めるようになっている。自然や人とのつながりを感じるエシカルファッションがこれから表れてくるだろう」と話した。(オルタナS副編集長=池田真隆)