東日本大震災で大量に発生した震災ガレキの処理は、まだできていない。しかも、被災地域の復興には、将来の巨大津波に対応するため防潮堤の整備が不可欠だ。

森の長城のイメージ図


そこで、一般財団「瓦礫を活かす森の長城プロジェクト」(東京・中央区)では、青森県から福島県におよぶ太平洋岸にガレキを活用して盛土を築き、その上にタブノキやカシ類・草花からなる森を育て、巨大津波から命を守る森の防潮堤を築いていく活動を始めている。

目標総延長は300㎞(青森県~福島県の太平洋岸)。幅30m~100m、高さ10m~15mの残土とガレキを利用したマウンド(盛土)を築き、タブノキやカシ類、地域の草花からなる「ふるさとの木によるふるさとの森」をつくると同時に、ポット苗9千万本の生産体制を確立し、植樹を通じて被災地域の経済的復興にも寄与することを目指す。

同プロジェクトの公式サイトによると、ガレキを埋めることで土壌の間に空気層が生まれ、根がより深く地中に入りこみ、根がガレキを抱くことで木々がより安定するという。

また、盛土の上に「ふるさとの木」による森を育てれば、木々は深く根を張り、津波のエネルギーを減殺し、津波が防潮堤を超えた際も樹木がフィルターになって、引き潮で沖に流されるのを防げると見込んでいる。

大震災直後、現地に入った同団体の調査チームは、タブノキ、カシ類など古来からその土地で育ってきた「土地本来の木」が津波に耐えてしっかり生き残っていることを確認した。2004年のスマトラ沖大地震の津波被害の現地調査でも、その土地本来の木が強かったという。

自然に任せると更地から「土地本来の森」が育つには200~300年かかるが、「土地本来の森」を構成する多様な樹種を植える方法によって15年で森を完成させる予定だ。(今一生


●瓦礫を活かす森の長城プロジェクト
http://greatforestwall.com/