深刻な経済危機に直面しているスペインの2大都市が、相次いでカジノリゾートの
建設を発表した。2つのプロジェクトにより最大25万人の雇用創出を見込んでいる。
カジノリゾート運営会社の大手ラスベガス・サンズ社(本社:ラスベガス)は首都
マドリードに180億ユーロ(約1兆8000億円)規模の巨大カジノリゾートを建設する。
12のホテルと6のカジノ、3つのゴルフコースを有する「ユーロ・べガス」は10年後
の完成を目指す。同社はラスベガス、マカオ、シンガポールなどでカジノリゾート
を展開している。
またバルセロナを州都とするカタルーニャ州は、6カ所のホテルとカジノを有する
「バルセロナ・ワールド」を45億ユーロ(約4500億円)かけ建設する計画を発表
した。
スペイン国立統計局の最新の調査では、2012年第2四半期の失業者は約570万人。
全体の失業率は24.63%で16~24歳の若年層でみると53.27%だという。
一方、不況の打開策としてカジノを建設する事は、間違った開発モデルだと批判の
声も上がっている。ホテルとカジノに従事する人は低賃金で低いスキルしか身に
着かない。また組織犯罪を誘発する危険性も指摘されている。
金融至上主義が見直されている中、スペインは実態経済ではなくギャンブルを国の
稼ぎ頭に選んだ。ユーロ・べガスはスペイン経済の救世主となれるのだろうか。
(オルタナSベトナム支局特派員=中川真弓)