全国の社会起業家23人から直接指導を受けられる「社会起業家・養成ゼミTOKYO」が10月6日、千駄ヶ谷コモンズ(東京・渋谷)などで開講する。

既存の養成機関には無い安さや、講師の多様性もウリだ


講師は毎回異なり、生命保険料の内訳公開と無店舗ネット販売を行うライフネット生命保険の出口治明社長や、ホームレスの自立支援のために放置自転車のレンタサイクル事業を大阪で営むHomedoorの川口加奈代表など多様だ。

ゼミを主宰するフリーライターの今一生さんは、「講師を選んだ基準は、社会課題を解決する仕組みを持ち、さらに食べていけていること」と話す。

今さんは、『プライドワーク』(春秋社)や『社会起業家に学べ!』(アスキー新書)などの書籍を執筆。2007年に東京大学で1年間行った自主ゼミでは、毎週全国から社会起業家を講師として招いた。2008年からは3年間、毎年「社会起業家支援サミット」というイベントを早稲田大学などで開催。

今さんは、「自殺志願者を15年以上取材した。原因が借金苦だったり、コミュニケーション能力の不足だったり、問題は個別に違う。様々な方向から、個別の解決に応じる取り組みが必要だと感じた」と言う。

しかし誰かを救うには、必ずコストがかかる。それを埋め合わせるため、ビジネスの手法が有効だと考えた。

「自殺せず、精神障がい者として福祉作業所で働いても平均月収は1万円程度。寄付や助成金に頼る事業の限界です」

一流パテシェを起用し作業所で美味しいスウィーツを開発・販売し、単価が高くやりがいのある仕事を作り出す「テミル」の船谷博生さんは、はゼミ第4回の講師だ。

「活動が持続可能にならないと、社会的課題に苦しむ人たちがいつまでも苦しみ続ける。 僕は人間が生きる上でのセーフティネットが問題をこじらす一歩手前にほしい。NPOや企業のCSRに必要なのは、課題解決とビジネスの手法を社会起業家自身から教わること」(今さん)

ゼミでは「マスメディアに取材される技術」と題して広報スキルも学べる。定員は予約先着で30人まで。全24回で6万円だが、1回だけの申し込みも可能。地方在住者や同行者は割引になる。ほぼ毎週土曜日に開催。(遠藤一)


社会起業家・養成ゼミ TOKYO