10月1日の朝、約7万人のシェルの社員たちは、「シェルはナイジェリアでの殺人に関与しているが、そのことはみんなに忘れて欲しい」http://murderisbad.com と題されたサイトのリンクを受け取ったことが明らかになった。

人権犯罪に関与した疑惑がでているシェル社

送り主は、「グラスルーツ・エンプロイーメント・エンパワメント課」と書かれていた。

このメールが送られた原因は、アメリカ最高裁にて行われているKiobel v. Royal Dutch Petroleum (キオベル対、ローヤルダッチ・ペトロリヌアム・シェル) 裁判について、 注視してほしいとの狙いである。

この裁判では、同社が西アフリカでの石油発掘の際に、現地人の殺害及び暴行に加担した疑惑が争われている。

サイトには裁判情報、ツイート、リンクが掲載されている。社員たちはこの件に関しての自分の気持ちをジャーナリストや、アメリカのニュースキャスターへ、このサイトを通してツイートできるようになっている。

しかし、このメールを見たシェル社のIT課は、すぐにサイトをブロックし社員たちに情報が届かないようした。

すぐにサイトがブロックされたが、なぜこのメールが同社の社員に届いたのか。なんと同社には、送り主である「グラスルーツ・エンプロイーメント・エンパワメント課」は存在しない。

実はこのメールは市民団体「ピープル・アゲインスト・リーガライジング・マーダー *PALM(殺人合法に反対の会)」によるものであった。

PALMの目的はシェルが西アフリカでの石油発掘の際にアフリカ軍補助疑惑で現地の約80の村への奇襲、800人以上の殺害、3万人以上の行方不明者を出したことを世間に知らせることである。

さらに、石油発掘に反対して、首を吊るされて殺害されたバリネム・キオベル医師の未亡人を助ける為でもある。

同社は200年前に作られた古いAlien Tort Statue(ATS)法をひっくり返さなければ勝つことができない状況だ。この法律は、海外で行われた人権犯罪についての賠償金を被害者に支払うための法律である。(この法律は、第二次世界大戦にホロコースト生存者が強制労働を強いられた際の損害賠償を求める裁判の際に使用されている)

しかし、シェル側弁護団は、企業は個人ではないためにこの法律には当てはまらないと言う。

PALMのショーン・ダガホニーさんは、「選挙への投資の際などにシェルが個人の権利を保証するとうるさいくせに、殺人の疑惑がでると突然逆のことを言い出す」と、語った。

人権犯罪についての 判決が企業側に有利な方向へ出ると同国では、世間からの批評がとても低くなる。そのためにPALMはシェルの社員へこの問題についてのメールを送ったという。

「シェルの社員は正常な人たち。殺人が行われていることに賛成する人はいない」とイエスマングループのアンディービックバーム氏は語る。イエスマングループは同社社員へのメール送信、サイト作成など技術的な面に貢献したアクティビストチームである。

大企業の犯罪(殺人、汚職、人権無視)が簡単に金銭で清算されている現代社会。もうそんな不条理なことは許されない。企業の不祥事に関する社員の気持ちはどこに向かうのか。(オルタナSロサンゼルス支局特派員=森本洋子)



この裁判、シェルに関して質問がある方は、直接PALMのショーンさんにメールをすることが出来ます。
sean.dagohoy@gmail.com

イエスマングループは、アンディビックバーム氏とマイクボナノ氏二人によるアクティビストチームです。イエスマンのミッションは、大企業、政治家による汚職、人権問題、環境問題などをメディアを通じ、独自のやり方で大衆の関心を集め、対策を考慮することが目的です。

ニューヨーク州立大学に研究所を持ち、学生、NGO、アクティビストの間に入り、ブレインストーム、トレーニング、アドバイスを行っています。

ドキュメンタリー映画も作成しており、DVDの購入は下記のアドレスから行えます。

内容は、イエスマングループのビックバーム氏がインド・ボボールで薬品工場事故を起こしたダウ・ケミカル社の社員に成り済まし、同社に侵入して、フランスBBCに生中継に出演、翌日、某社の株を大幅に脱落させたことや、ポジティブな記事しか掲載されていない偽ニューヨーク・タイムス発行の様子などその他、盛りだくさん収録されています。

http://theyesmenfixtheworld.com/