オンラインで無料授業のサービスを提供するスクーが運営するサービス「schoo WEB-campus(スクー・ウェブキャンパス)」が、10月10日リニューアルを迎える。今年1月に開校し、週に1回ほどのオンライン授業を配信していた。会員数は25,000人にのぼり、リニューアルで国内学生数トップである日本大学を超える約80,000人を目指す。スクー代表の森健志郎さんは、「学び方を根本から変えていきたい」と語る。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)
——リニューアルで現状の25,000人から80,000人を目指すとのことですが、会員数を拡大させる戦略を教えてください。
森:PRにおける戦略を用意するのではなく、ただ、しっかりとしたプロダクトを提供していくだけです。ソーシャルメディアがこれほどまでに浸透した時代ですから、ユーザーの皆様が求めているプロダクトを作っていければ、拡散するコストはこれまで以上に下がっていると思います。80,000という数字をひとつの目標に掲げていますが、特別なPRを打たなくとも、十分に達成できる数字だと思っています。
——森さんが考える「しっかりとしたプロダクト」とはどのようなものでしょうか。
森:世の中の強烈な課題感とニーズ感を掴んでおり、その問題と向かいあっているプロダクトです。さらに目指すのは、その課題感やニーズを解決してくれるプロダクトです。これはプロダクトにかぎらず、本質をしっかりと捉えていれば、多少デザインや機能が時代から早すぎたり、多少稚拙であったとしても、数年後も必ず生き残っていくと思います。
——スクーでは、どのような問題を変えていきたいと思ったのでしょうか。
森:「学び方」を根本から変えていきたいと思っています。ありとあらゆるものがオンライン化した現代において、オフラインのままの教育に可能性を感じました。
教育のオンライン化といえば、20数年前から、「eラーニング」サービスがありました。現在のeラーニングの市場規模は1,000億円ほどですが、成功事例はほとんどありません。
私たちは、徹底的にweb上で「面白い体験」を提供することにこだわっています。これまでのeラーニングサービスが市場規模と比較してうまくいっていないのは、「面白さ」が足りないことだと思っています。
たとえば、一人で40分間の動画を見ていたら、集中力が続きません。ただ情報を得る媒体が、テキストから動画に変わっただけです。それでは、「続かない、学べない」と思っている多くの方々の課題感を解決出来ません。そこで、サービスを楽しんでいただくために、学生間だけでなく、講師と学生とのインタラクティブなコミュニケーションが必要なのではと考えました。
eラーニングでは一方的に受動的だった授業が、schoo WEB-campusではコメント機能があるので、ユーザー同士の交流、先生として登壇してくださっている方との交流を通して双方向性が生まれます。まるで、大教室で授業を受けて、皆で意見を交換しあっているかのような状況で授業を楽しむことができるのです。
想像していただきたいのですが、2,000人がいる大教室で教室の端から端まで全員で、同時に1つの問題を考えることが出来たら面白いと思いませんか?
また、今回のリニューアルでは、録画で授業放送を視聴することができるようになりました。これで、いつでも、どこでも、授業を楽しんでいただくことができます。
さらに、ただ録画映像を視聴するだけではなく、生放送時のユーザーが発信したチャットを擬似再現することで、録画視聴であってもたくさんの人と一緒に学んでいる体験を得ることができます。
——リニューアルしたスクーでオススメの授業はありますか。
森:リニューアル第一弾の授業として、「nanapi」代表の古川健介さんには期待してほしいです。過去にも出て頂いたのですが、今回のテーマは、「これからのインターネットコンテンツ」です。
今はインターネットコンテンツがむちゃくちゃ面白い時代だと思っています。クリエイターと読者をつなぐサイト「ケイクス」では、定額で記事コンテンツを提供しています。さらに、ニコニコ動画は、有料メルマガを配信し始めました。これまでには考えもしなかったコンテンツ購入のかたちや提供方法が生まれてくるかもしれません。
無料コンテンツでユーザーを獲得し、広告でマネタイズしていた時代が終わってきたのかもしれません。また。そもそもwebを使っている人たちはフリーのコンテンツを求めているのでしょうか。そのような視点から講義して頂きます。
schoo WEB-campus
森健志郎:
株式会社スクー代表取締役社長。1986年生まれ。2009年大学卒業後、リクルートにて広告営業、リクルートメディアコミュニケーションズにて広告制作のディレクターを務める。2011年10月に株式会社スクーを設立。「WEB上の新しい学校のカタチ」をコンセプトに、「新しい学びを提供する」ために、サービス向上に取り組む。twitter/facebook
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