オレゴン州フッドリバーに本社、工場があるタートルアイランドフード。大豆から作る動物性タンパク質、卵などをいっさい使用せずにサンドイッチ用の大豆、グルテン肉を発酵させたグルテンソーセージを生産、販売している。

タートルアイランドフードの工場ベランダのガーデン


1980年に創立して、すべての製品はオーガニックの大豆、麦を使用している。社長のセス・ティッボト氏に、環境を配慮した工場、動物の権利を守る経営について伺った。

同社の本社工場は、LEED (リーダーシップ・イン・エネルギー・アンド・エンバイロメンタル・デザイン)の認定を受けている。

LEEDとは、エネルギー、廃棄物、グリーンガス、水、建物の原料などに関して、定められた高い環境規定をクリアしなければ許可がおりない。

LEEDにはシルバー、ゴールド、プラチナの三つの段階がある。食料品を扱う会社はもっともエネルギーの接種が多いためこの許可書を手に入れるためのハードルは高い。

その為プラチナを持っている食料品会社は世界でも少ない中、同社はその高いハードルをクリアし、プラチナの許可書を獲得している。

ソーラーパネルの設置や、現地オレゴン州の植物を植えたガーデン、排水の再利用、雨水の貯水槽から使用できるトイレなど、環境に配慮した取り組みを行う。

オフィスは再利用の絨毯、建築材料の80%はオレゴン州でのローカル素材を使用している。キャビネットなどは、使用済みのパレットを再利用、カウンターはリサイクルされたビール瓶で作られている。

工場の40%以上はグリーンエネルギーを使用。車の使用を減らすため、従業員へのシエアカーシステムを導入。自転車通勤者のための着替え室もあり、排気ガスの減少にも努めている。

同社の工場には電気自動車の充電ステーションを駐車場に配置、現地の住民も無料で使用でき地域コミュティの形成にも貢献している。

電球にも配慮はかかせない。窓を普通より大きく作り、ソーラーチューブライテングを天井から配置し電球の使用を少なくしている。

同社はNON-GMO(遺伝子組み換えの食料に反対、情報を提供しているグループ)のメンバーでもある。

遺伝子組み換えの食料品についての不安全さなど、食料品企業として、消費者に正しい情報を提供する事がつとめだと氏はいう。

特にアメリカでは、遺伝子組み換え大豆などの規制はないため、どちらかを選ぶのは消費者にかかっている。そして、よく食品に使われている大豆タンパク質“Hexane”(ヘキセン)の危険性も理解する必要があるという。

ヘキセンは、分離大豆蛋白質を作る際に使用されているが、実は石油からできている。この成分は、癌に繋がる可能性が多い。そのため、必ず大豆が入っている製品の原料をチエックする必要があり、近い将来には、世界的に遺伝子組み換えの食料品がもっと規制される事を願っていると語った。

セス・ティボットさん


38年以上ビーガンのティボット氏。ビーガンとは、肉、魚、卵、乳製品、蜂蜜、動物で作った出汁などをいっさい食べないことをさす。特にアメリカでは、インダストリル・ファーミングといった食用動物が、生きているものとして扱われない管理体制でずさんな飼育をされていることも少なくない。

「人間でいる以上、動物の苦しみを知らないでは済ませられない」と氏は言う。

そのために大豆で出来た肉の開発に励んだティボット氏。「自分の作った大豆肉を食べてもらえれば、沢山の動物たちの命が助かる。この事が会社を創立してから一番うれしい事だ。ビーガンダイエットは、CO2、メタンガス、ナイトレスガスの削減につながる。これからの食料問題、地球温暖化を考えるならば地球に対してできることの一つだ」と語る。

ビーガン一筋で30年経ったタートルアイランドフード。アメリカで最も成功しているビーガン食料品会社である。

ユニュークな製品を送り出してきたビジネスの秘訣については、「とにかくギブアップしないこと。ユニークなアイディアを持っているのならば、そのまま突き進むことだ。情熱をもってやっていれば、必ず波に乗れる。そして、人生をあまりシリアスに考えない事が大切。自分の事を笑い飛ばせるユーモアをもっていることが大事だ」

トーフフアーキという商品のネーミングを考えたときも、自分で作って笑ってしまったという氏。豆腐とターキーをもじった名前である。アメリカでは11月にあるサンクスギビングの休日では、家族が集まりターキーを作るのが主流だが、トーフファーキがあればターキーの命を守りながら、エシカルサンクスギビングを祝う事ができる。

同社は、工場見学グリーンツアーを行っているのでオレゴン州へ行く機会がある方はぜひ見学をお勧めする。(オルタナSロサンゼルス支局特派員=森本洋子)


タートルアイランドフード社


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