今夏の節電を促すキーマンは元気な子どもたちかもしれない。
6月22日(水)に中央区にある泰明小学校で同校の児童に対して着衣や緑の力で体感温度を下げて冷房に頼らないで夏を過ごすための特別授業が開かれた。
授業タイトルは「緑のチカラと体感温度について」である。体感温度を下げるために冷房などの機械に頼らず緑の力や着衣を工夫して利用しようと5年生児童62人に対して約2時間にわたり特別授業が行われた。
緑の力(グリーンカーテンや街路樹など)と着衣(スーパークールビズなど)で体感温度を下げることを学ぶ授業のため環境省が主催するチャレンジ25(温暖化防止のための国民運動)のひとつである「グリーンカーテンプロジェクト2011」の協力を得てゲスト講師として環境省の地球環境局地球温暖化対策課国民生活対策室室長補佐の佐藤匡廣さん、日本工業大学教授の成田健一さんが招かれた。
泰明小学校は関東大震災の後に「復興小学校」として昭和4年に建設された。蔦のからまる校舎は国会議事堂、日本銀行本店などと並び後世に残したい建築物に与えられる称号、「東京の建築遺産50選」に選ばれている。
授業では成田教授が人の体感温度がわかる熱画像カメラを利用して、うちわや霧吹きなどで児童の体感温度の変化を可視化させ、着るものの工夫次第で体感温度を下げれることを解説した。また、熱画像カメラで銀座上空から撮った写真を見せて、周辺が緑で囲まれている部分の気温が低いことをわかりやすく説明し、児童たちは熱心に聞き入った。
そして、授業の終わりに参加児童全員に宣言カードを配り、各自自分でできる節電方法をそのカードに書き入れ、環境省の佐藤匡廣さんに手渡した。宣言カードには「緑のカーテンを育てる」や「冷房に頼らないでうちわを使う」また、「葉っぱで家を作る」などといったことが書かれた。
環境省の佐藤匡廣さんは「この授業を受けた子どもたちが家に帰って親御さんに今日の話しをすると、普段考えていないことに親自身が気づかされ、各家庭で何らかの節電アクションを起こして頂けることを期待している」と語った。
また同校の樋口昇校長は「今後も環境省や大学と連携を築きながら、子どもたちの活動を銀座の街にも広げて節電活動をしていきたい」と述べた。
大人たちを行動に導くには普及啓発活動も大切だが、もっとも心を動かす要因になるのは、キラキラと輝く瞳で訴えかける子どもたちの純粋さではないだろうか。緑の蔦が絡まる小学校で学んだ「つたえる」子どもたちの力はきっと節電だけに留まらず、豊かな暮らしとは何かを問いかけてくれるキッカケの種をまくことになるだろう。
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