福島県出身の大学生で構成されているTEAM iups(チームアイアップス)が主催する「あづまっぺ会」が10日、渋谷のMiLKcafeにて開催された。4回目となる今回は、福島県出身者のみを対象に開催してきたこれまでとは少し方向性を変え、「番外編」と題して「東京人と福島人との交流」というテーマで県内出身者に加えて県外出身者の参加も募った。福島人と東京人合わせて30人の20代が参加し、賑わいをみせた。

写真:アキタカオリ


会の中では、上京している福島県出身者や県外出身者に福島との関わり方を考えてもらうことを目的として、東京から福島に関わる3つの団体(Link with ふくしま /あいべ福島プロジェクト/TEAM iups)によるプレゼンテーションが行われた。

福島出身の若者を中心として福島の復興を目指す団体「Link with ふくしま」のプレゼンでは、事務局長の佐藤聡さん(福島県須賀川市出身)が団体立ち上げのきっかけから活動内容、そして活動を通じて感じたことまでを話した。同団体は「地域を超えたLink、セクターを超えたLink」をコンセプトに活動し、フューチャーセンターを運営している。

佐藤さんは将来的に東京にいても常に福島の人や情報に触れられるようなシェアスペースを築き、「福島」を受発信し続けたいとも話した。

続いてプレゼンをした『あいべ福島プロジェクト』は「福島に恋をしよう」をスローガンに、福島と関東の学生をつなぐ学生団体である。千葉県出身である代表の板里彩乃さん(千葉県船橋市出身)は、福島との出会いを通じて、都会に憧れていた自分の価値観が変わったことを語った。

あいべ福島代表の板里彩乃さん


そんな福島のことをもっと多くの人に知って欲しいという想いで活動しているという。大学生である自分たちの身の丈にあった福島との関わり方を実践しているとのことであった。

そして最後の「TEAM iups」は福島県出身の在京者が地元外からの視点で楽しく福島について考える場や機会を創造する団体である。プレゼンでは設立の経緯やこれまでの活動が紹介された。

代表の西丸亮さん(福島県いわき市出身)は、地元から離れた場所だからこそできることと自分のしたいこととを両立することを大切にしており、最終的には福島と関わることを「趣味化」させたいと語った。震災や原発事故という一過的なものではなく、常日頃、つまり「有事」ではなく「平時」から福島と関わることが重要だと話した。

それぞれ特色ある3団体だったが、どの団体も「福島が好き」という想いは共通しており、それが活動の原動力となっていた。福島県外にいる人間の中には、福島と関わろうとしても物理的な距離が壁となってしまい、もどかしさを感じている者も多いだろう。

しかし、東京にいても、福島出身ではなくとも、福島と関わることはできる。自分のできることをできる範囲でやれば良いのだということを各団体のプレゼンは物語っていた。参加者の中には、既に団体の存在を知っていたり自分で福島と関わりを持っていたりする参加者も多かったが、その一方で、このような団体の存在すら知らなかったという参加者もいた。

こういった様々な立場の方が参加していることがこの会の魅力のひとつであり、そこでの 交流が新たな可能性を生み出すのではないかと私は考える。この「あづまっぺ会」が福島に向けた一歩を踏み出すためのきっかけになればと思う。(寄稿・齊藤崇)


TEAM iups(アイ・アップス)
2010 年に福島県出身の大学生によって設立された任意団体。福島県出身の在京者が 「地元 外」からの視点で楽しく福島について考える場や機会を創造する活動をしている。物理的 に距離が離れた場所から地元と当たり前に関わり、それを「趣味化」させることが目的。
Link with ふくしま
あいべ福島プロジェクト