下間:きっかけは、震災直後に陸前高田市の避難所に派遣されたある看護師が書いたブログです。親しくなった6歳の女の子にクリスマスプレゼントに欲しいものを聞くと、『おうちとママがほしい』。

その子は母親を震災で亡くしていた、という内容でした。心に傷を負った子どもたちはもちろん、大人たちも笑顔になれるように被災地でクリスマスを開催しようと考えました。スタッフの中からは不謹慎だとの意見も出ましたが、開催すると現地では大変喜ばれました。



――元々ボランティアに興味はあったのですか。

下間:今まで興味はなく、むしろ偽善的だと思っていました。しかし今回の震災では、とにかく何かをしなければいけないと思ったのです。毎年恒例だった海外旅行の行き先を東北に変更しました。

昨年5月に初めて「遠野まごころネット」のメンバーとして、がれき撤去のボランティアをしました。同団体は、支援物資の運搬や被災者のメンタル・ケアなど様々な復興支援を行っています。

「遠野まごころネット」でのボランティアに関西から参加した人の同窓会に昨年7月に参加したことがきっかけで、現在は関西事務所の中心メンバーとして動いています。

――昨年のイベントで心に残っていることは何ですか。

下間:当日参加はできませんでしたが、クリスマスの準備ですかね。毎年豪華なイルミネーションで地元の人たちの人気を集めていた石屋さんの装飾を手伝いました。石屋さんの奥さんは他人を家に入れることに抵抗があったため、当初はボランティア受入れには消極的でした。

しかし、一緒に作業するうちにすっかり打ち解けることができました。作業の休憩中には『まさか私たちの住んでいるところまで津波は来ないだろう、と娘に軽々しく言ってしまったことを後悔している。幸い娘は無事だったが、一歩間違えばどうなっていたことか』『誰にも言えなかったことを話せて心が軽くなった』と言われたことが印象に残っています。

被災地に行く時は今でも、家を訪ねます。今ではボランティアの枠を超えた、深いつながりができました。

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