三郎岩

海士町は、島根半島の沖合約60キロメートル、隠岐諸島の中にあり、20〜40代のIターンが起きている島です。
Iターンとは、生まれ育った故郷以外の地域に就職することを言います。主に都心で育った人が地方の企業に就職する場合に使うことが多いようです。
海士町には町民の約1割にあたる、Iターン者が暮らしています。

昭和25年頃は7000人近くいた人口も今では約2400人となり、高齢化や深刻な財政悪化で一時、島は破綻寸前まで追い込まれました。
そこから若者が集まる町へと復活を遂げた理由は何処にあるのでしょうか。

海士町の町長、山内道雄さんはまず、自らの給与を50%カットし、「本気」で島の復活に取り組みました。
山内さんの著書、『離島発 生き残るための10の戦略』では、活性化のキーワードとして、「よそ者(新しい視点)、馬鹿者(行動力)、若者(これからの主役)」を挙げており、町長さんはこの三種の神器を島に集めることに力を注ぎました。

三種の神器の活躍として、例えば、自然環境と地域資源を活かした第1次産業の再生においては、「海」・「潮風」・「塩」の3つをキーワードに、地域資源を有効活用し、『島まるごとブランド化』という究極のふるさと振興を目指しました。

具体的には、『海』では、「島じゃ常識!さざえカレー」を商品化し、ヒット商品となりました。
「さざえカレー」は、島では当たり前に食べていたものを海士町商品開発研修生がキーマンとなって開発した商品です。
商品開発研修生とは、平成10年度より海士町が募集している商品開発研修生制度で、地元にない発想と視点で、特産品や観光商品或いは地域づくり、地域コミュニティに至るまで、海士にある全ての宝の山(地域資源)にスポットをあて、商品化に挑戦します。
「よそ者」な「若者」だからこそ気付けた島の良さ、強みですね。

「よそ者」「馬鹿者」「若者」を虜にした海士町、我こそは当てはまる!という方、是非訪れてみてはいかがでしょうか。 (オルタナS編集部員=山田衣音子)

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