夜景スポットや日本を支える工業地域として知られる東京湾にも、数多くの渡り鳥の楽園となる場所があります。それが「三番瀬」です。

三番瀬は、千葉県浦安市・市川市・船橋市・習志野市の4つの市の東京湾沿岸に広がる約1,800ヘクタールの干潟で、江戸時代以降、豊かな漁場として知られてきました。

現在もシベリアからオーストラリアに向けて渡る途中羽を休めにくるスズカモやチドリを始めとする多くの野鳥たちやイシガレイ・スズキ等の魚も生息し、シーバス釣りを楽しむこともできます。

また、ふなばし三番瀬海浜公園は都心から最も近い潮干狩りが楽しめる場所として知られ、毎年4月~6月には約15万人が訪れる人気のレジャースポットとなっています。

 

しかし東京湾の自然環境の多様性を知ることのできる三番瀬ですが、高度経済成長期には埋立て計画の対象区域となり、一時消滅の危機に瀕したこともありました。

もともと東京湾沿岸は三番瀬のような干潟がどこにでも見られていましたが、経済発展と共にその9割が埋立地へと変わっていき、三番瀬周辺や三番瀬の一部も埋め立てられ、千葉県の経済を引っ張る京葉工業地帯となりました。

その結果、経済発展と引き換えに埋立てによって三番瀬の自然環境は悪化し、生態系の変化、漁業生産の低下など様々な問題が引き起こさていったのです。

こうした中で、三番瀬のもつ生態系への影響面での重要性から、90年代後半からは市民やNGO等が立ち上がり、千葉県が進めようとしていた三番瀬埋立て計画を撤回するよう求める活動をはじめ、その活動の結果、県は2001年に埋立て計画を白紙撤回。以後市民やNGOと共同で「千葉県三番瀬再生計画」を策定し、現在も三番瀬が以前の姿を取り戻すよう、協力して活動しています。

 

都会の幻想に疲れたら、都心からほど近い三番瀬にあなたも羽を休めに来てはいかがでしょうか。(オルタナS編集部=板里彩乃)

 

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