——青年海外協力隊として、エチオピアに行かれた経験をもとに、エシカルファッションブランド「andu amet(アンドゥアメット)」を立ち上げましたね。そもそもなぜ青年海外協力隊になろうと思ったのでしょうか。

鮫島:青年海外協力隊に入る前は、日本メーカーのファストファッション系のデザイナーでした。提案したことがすぐに製品になるので、楽しかったのですが、毎日、新デザインを考えていくと、これでいいのかと思い始めたのです。

毎シーズン、新しい服が出ては、大量に捨てられてしまいます。大量生産・大量消費に違和感を感じました。多くの本や人に会って見聞を広める一環で、青年海外協力隊のことを知りました。話を聞いて、何か自分でもできることはあるかもしれないと思い、行ってみようと決意しました。

——青年海外協力隊でエチオピアに行ったときの印象はどうでしたか。

鮫島:訪れてみて貧困の現状には驚きました。それまでに、親の仕事の関係で幼少の頃から途上国などに住んだことはありましたが、今まで見てきたどの国よりも貧しかったです。現実を知り、この国を変えるには生半可な覚悟ではできないと悟りました。

でも、2年間現地の人と一緒に生活していると自分も変わってきて、できることはあるかもしれないと思うようになります。エチオピア産の素晴らしい製品や、伝統職人の技術など、情熱を持って働く人が確かにいました。

ただ、課題もありました。それは、標高、緯度、羊の種類から世界最高峰の皮といわれるエチオピア産の皮が原材料の輸出に依存していることです。エチオピアには少額しかお金がおりないので、職人さんは貧しい生活をしています。そこで、彼らに、技術とデザインを教えれば、この貧困状況が変わるかもしれないと思いました。

工房で働く現地の人々


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