——人助けをしたいという思いは幼少期の頃からあったのでしょうか。

鮫島:貧困や国際協力への関心はまったくなかったですね(笑)。でも、私のバックグラウンドは、父親が途上国でビジネスをしていた関係で、色々な国で培われました。貧しい国にも行きましたので、貧困の勉強はしていませんが、心のどこかに興味はありました。

衝撃的なこととして覚えているのは、イランで戦争を体験したときです。そこで、学校に住み込みで働いている用務員の家族がいました。そこの奥さんは息子が戦争から帰ってきたばかりでした。普段は優しい奥さんですが、私にこんなことを言ったのです。

「私も男だったらよかった、戦争に行ってたくさんのイラク人を殺せるのに」と。ショッックでした。この言葉を聞いたとき、貧しいということが単純にご飯を食べられないことだけではないのだと気付かされました。教育を受ける機会を与えられていないので、このように洗脳された考え方を持ってしまうのです。

——現代において、エシカルビジネスを実践する意義を教えてください。
鮫島:次の時代のものづくりのあり方を考えたときに必然的にエシカルビジネスになりました。

大量生産・大量消費では、売れるために価格競争に陥り、ものの価値をなくしています。私は、数は限られていますが、寿命が長く、ハイブランドなよいものを作りたいのです。

エシカルビジネスは、10年前から比べて、第2フェーズに来ていると感じます。単純にエシカルなものを提供すれば良いわけではなく、エシカルでデザインが良いものが求められていますので。

——エシカル志向を持つ学生に対してのメッセージを頂けますか。

鮫島:社会貢献やエシカルファッションは流行りつつありますが、多角的にものを見るようにしてほしいです。フェアトレードだから正解ではありません。フェアトレードの中にも光と闇があります。一つのワードに捉えられて、無思考になるのは、何もしらないことよりも危険だと思います。

自分できちんと考えて選ぶことがエシカルな社会につながります。若い頃は色々な誘惑が周りにありますけど、ピュアな気持ちで多角的にものを見たらよいのではないでしょうか。


andu amet


【エシカルファッション】関連の他の記事を読む
ファッションでつながるエシカルなコミュニティ「Rentez Vous」
「日常に取り入れられるエシカルファッションを」―AFRICA&LEO
エシカルは若者を動かすのか チチカカETHIC表参道に誕生
エシカルファッションデザイナー RYOTA SHIGA


・企業のCSRに興味がある方はこちら
・NPO/NGO活動に興味がある方はこちら
・若者の社会貢献活動に興味がある方はこちら
・ソーシャルグッドなアイデア・サービスに興味がある方はこちら






次の記事を読む⇒【車椅子だからこそなれた自分へ 日本をUD先進国へ命かける23歳
前の記事を読む⇒【書評 HASUNA白木夏子代表「世界と、いっしょに輝く‐エシカルジュエリーブランドHASUNAの仕事」

1 2 3