私が主宰する「Secori Gallery」はロンドンで立ち上がった企画です。国内のアパレル生産が東南アジアに流れていて、いま、「日本のものづくり」を再考し、長期的な観点でサステイナブルなものづくりを支援するプラットフォームを作ろうと考えたのがきっかけです。
そのために、海外での展示会の企画と並行して、日本の生地産地を回り工場の取材を通して、生産者の方々と一緒にものづくりを考えています。今年の頭には、活動を様々な取材と併せてアーカイブした書籍を刊行しました。
こういった活動をプレゼンテーションする際に、ヨーロッパでは「ethical fashion」という言葉を適切に感じ、コミュニケーションを助けてくれました。2012年に開催したロンドンでの展示会も「Ethical Fashion Exhibition」というタイトルを付けました。
一方、近年になり「エシカル」という言葉が浸透し始めてきた日本では、良くも悪くも「エシカル」という言葉の解釈が偏っているように感じています。
目新しい言葉なので、「エシカル商品」や「エシカル活動」というタイトルを付けると引っ掛かりになりやすいということがあるかと思います。
しかし、現在エシカルに対しエコやフェアトレードの側面の認識が強いことから、ファッション商品としてプレゼンテーションした時に、従来のエシカルのイメージが合わさりファッショナブルでない印象が構築されてしまうケースもあるかと思います。
発信する方は慎重に段階を踏まないとターゲットやブランディングがずれてしまうこともあるかと思います。
そのような現状も踏まえて考えると、エシカルはそもそももっと自由な思想だと思いますので、先行したイメージに縛られるというより、個人の選択肢や価値観を広げてくれる「考え方」だと思っています。
もっと洗練され、個々の自由なエシカルの認識が広がり、様々な反応が起こっていくと、発信する側、受信する側と相互から、エシカルという分野が活性していくのだと感じています。(寄稿・Secori Gallery 代表 宮浦晋哉)
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