ルーム・トゥ・リードの設立以来大切にしている価値観がある。「GSD(Get Stuff Done)」だ。日本語では、「つべこべ言わずに、やることをやれ」と訳す。「このDNAを持った人材が集まってきたから、私たちの団体は成長してきた」とジョンは断言する。

「企業は機会を見つけたら投資し、拡大し、成長してきた。しかし、NPOは小さくものごとを考えてしまう傾向にある。私たちは小さくは考えたくはない。民間企業と同じように成長していくことが重要だと思っているからだ」とジョンは話す。

「スターバックスは拡大という意味では王様のような存在である。なので、スターバーックスよりも速いペースで成長したいと思った。しかし、それは無理だと言われ続けた。ボーナスや給与も低い組織で追い抜くことは不可能だと」

しかし、最近12年間のデータでは、スターバックスが新たに出した店舗数よりも、より多くの図書館を建設していることが証明されている。「NGOでも民間企業よりも速く成長することができるのだと証明したかった」とジョンは話す。まさにGSD精神の賜物である。

青がルーム・トゥ・リードで緑がスターバックス


ジョンは取材や講演会などで、ドライバーもいて、ボーナスもあった、マイクロソフト時代の生活に戻りたくないのかとよく聞かれるという。そのような質問には決まってこう答える。

「私は社会的地位や名誉、報酬を捨てて、新しいチャンレジをしたことを後悔していない。今は、株主のためではなく、子どもたちのために働いている。ルーム・トゥ・リードの活動は、チームスポーツのようなものだ。多くの人と励まし合い、成長していく過程を日々楽しんでいる。君もぼくたちのチームに入らないか?」と。(オルタナS副編集長=池田真隆)



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