フェアトレードシティ誕生を祝う看板(熊本市・らぶらんどエンジェル)

熊本市は6月、世界では1000番目、アジアでは初となるフェアトレード・シティの認定を受けた。

2000年にイギリスで誕生した地域ぐるみでフェアトレードを推進するフェアトレード・タウン(シティ)運動は欧州を中心に広がっている。日本では認定機関である一般社団法人フェアトレードタウン・ジャパンが4月に発足し、5月には日本独自のフェアトレードタウン基準を定めていた。

日本独自の基準には、推進組織の設立と支持層の拡大が図られている、イベントやメディアを活用し、市民への啓発が行われている、地域の店でフェアトレード産品の提供が行われているなど6つの項目があり、熊本市の場合、2品目以上のフェアトレード産品を提供する店が人口1万人当たり1店以上あることが求められている。

基準には自治体によるフェアトレードの指示と普及という項目もあり、地元議会がフェアトレードを支持する決議を行わなければならない。熊本市議会は昨年12月、「フェアトレードの理念周知を求める」決議を全会一致で可決した。

熊本市の市民団体フェアトレード・シティ推進委員会の明石祥子代表は「議会の決議を得るという項目が非常に高いハードルだった。何事も初めてというものは困難を極めるが、熊本がその道を開拓したと意味では相当意義深いと思う。前例ができれば、他の都市も取り組みやすくなるのではないか」と語った。

明石代表によると札幌市、名古屋市、東京・小金井市でフェアトレード・シティを目指す動きがあり、札幌と名古屋では認定基準の一つである推進組織が設立され、活動を行っているという。