公益財団法人トヨタ財団はトヨタNPOカレッジ「カイケツ」の2期生の募集を始めた。カイケツは、トヨタ自動車の問題解決手法を非営利組織の経営層へ教える連続講座。人材不足や業務効率などに悩む団体におすすめ。(オルタナS編集部)
トヨタNPOカレッジ「カイケツ」では、トヨタ自動車が全社員へ教えてきた「問題解決」手法を学ぶ。
この手法は、生産現場だけでなくあらゆる組織や事業に応用可能とされている。
トヨタ自動車の問題解決の8ステップに沿って、A3一枚にまとめていく。8ステップとは下記。
1:テーマ選定
改善したい課題を1文にまとめるステップ。テーマを読めば、改善の狙いが理解できるように表現する。「どこで」「何を」「どのように」の3項目を具体的に書く。
2:現状把握
問題が起きている事実を定量的に把握するステップ。事象をデータ化し、問題点を絞る。主観ではなく、多くの客観的な事実を集めて定量的に整理する。
3:目標設定
目標を設定するステップ。その目標を達成すると、選定したテーマを解決できるレベルに設定する。
4:要因解析
原因についての真因を探るステップ。事象に対して、5回の「なぜ」を繰り返す。現状把握と混同して考えてしまいがちだが、現状把握では要因は書きません。事実だけをまとめる。
5:対策立案
要因解析で見つけた真因を解決するための対策を立てるステップ。真因ごとに、「対策内容」「担当者」「期限」に分ける。真因への対策をいきなり考えるのではなく、方向性を明確にしてから、アイデアを出していくことがおすすめ。
6:対策実行
実行する対策の内容やスケジュールをまとめるステップ。
7:効果確認
実施した対策内容によりどの程度効果が出たのかを評価するステップ。
8:標準化と管理の定着
効果の出た対策の内容を標準化し、定着させるステップ。同じ問題の再発を防ぐことができる。
講師を務めるのは、トヨタ自動車で長く品質管理に携わってきたトヨタ自動車業務品質改善部主査・古谷健夫氏のほか、経験豊富な講師陣。5人4グループに分かれて、各グループに講師が一人付く。問題解決の講座以外にも、PubliCo(パブリコ、東京・品川)の山元(やまもと)圭太・代表取締役COOによる「ファンドレイジング」、あいちコミュニティ財団による「ボランティアマネジメント」、オルタナ編集長・森摂による「広報」のオプショナル講座も行う。
昨年は全国から約30団体が受講した。多文化市民メディアDiVE.tv代表の牧野佳奈子さんは、「ここで学んだことはノウハウではなく、課題解決に必要な精神だったのだと改めて思う。真の課題は何かを探り、整理し、道筋をつけて対策を考えること。そのために必要な基礎体力が、プレゼンを繰り返すことによって鍛えられた」と話す。
*昨年度のレポート一覧はこちら
【2017年度トヨタNPOカレッジ「カイケツ」日程】
第1回 5月18日(木)13時-18時@産業技術記念館(愛知県名古屋市西区則武新町4−1−35)
第2回 5月19日(金)10時-15時(終了後オプショナル講座)@産業技術記念館
第3回 6月15日(木)13時-18時@ウィンクあいち(愛知県名古屋市中村区名駅4丁目4-38)
第4回 7月13日(木)13時-17時(終了後オプショナル講座)@ウィンクあいち
第5回 8月3日(木)13時-17時(終了後オプショナル講座)@ウィンクあいち
第6回 11月28(火)成果報告会@産業技術記念館
参加費:無料
定員:20名(5名×4グループ)
申込方法:こちらからお申し込みください。
参加条件:
・社会課題の解決に取り組むNPO等の公益組織
・所属組織の法人格の種別・有無は問いません。
・1名以上の常勤職員のいる組織。1年以上の活動実績のある組織。
・組織の代表など中核を担う人材
・学んだことを現場で実践し、課題を提出できる方
・全回参加できる方(ただしやむを得ない場合は同組織から代理の方が参加してもかまいません)
・1組織2名まで参加可能。
申し込み締め切り:4月10日(月)
*定員を超えた申し込みがあった場合は、選考の上、4月中に参加者に参加通知をお送りいたします。
<講師プロフィール>
トヨタ自動車株式会社 業務品質改善部 主査 古谷 健夫氏
東京大学工学部産業機械工学科卒業。トヨタ自動車工業株式会社(現:トヨタ自動車株式会社)入社、TQM 推進部長、本社工場品質管理部長を経て現職。中小企業診断士。デミング賞審査委員。著書に『“質創造”マネジメント― TQMの構築による持続的成長の実現』中部品質管理協会編、監修・共著(日科技連出版社 2013年9月)がある。古谷氏に加え、トヨタ自動車出身の経験豊富な講師陣4名が各グループで個別指導します。