エシカルとは、「倫理的な」という意味の形容詞で、人や社会、環境に配慮した活動を指す。エシカルビジネスとは、倫理感を持ち事業を行うことを意味する。ファッションでは、大量生産・消費による環境汚染や搾取労働が、ジュエリーでは鉱山労働や不平等取引が問題視されている。製造や流通過程にある問題点を、商品を通して提議することが、エシカルの役割である。
白木代表は、2009年4月、日本で初めてエシカルジュエリーブランドを実現させた。鉱山では、児童労働や命を危険にさらす深刻な労働問題が多く存在する。小規模鉱山の労働者は、世界に約1300万~2000万人いるとされている。「事業を通して、鉱山での児童労働問題にアプローチしたかった」と話す。
鮫島代表は、青年海外協力隊でエチオピアへ赴任したことがもとになり、2012年に世界最高級皮とされるエチオピアシープスキンを使用したレザーブランド「アンドゥアメット」を立ち上げた。
■エシカルの今後の課題は
「エシカルという言葉がここまで流行るとは思っていなかった」と話すのは白木代表。「起業準備中であった2008年には、エシカルと検索しても、ネット上ではほとんど検索されなかった」。ファッション雑誌『マリクレール』でロンドン特集を読み、初めて目にしたという。311以降、社会貢献意識の高まりと同時に、「エシカル」の波も来たのではないかと予測する。
しかし、エシカルが普及することで、課題も出てくると危惧する。「エシカルという言葉を利用してお金儲けに走る団体が出てくる可能性もある。大切なのは、言葉ではなく、エシカルを当たり前に捉えること。一過性のブームのように、言葉に飛びつくのは危険である」。
鮫島代表も同様に、エシカルの盛り上がりに警笛を鳴らす。「エシカルはルールではなく、気持ちのあり方。心から離れて、ブームとされてしまう可能性がある」。
■傷も汚れも自分の成長