グアテマラにおいては、中小零細企業が行う生産活動(広義の意味での地場産業)の割合は、国内全体の3分の2を占めている。つまり、グアテマラ経済を底上げするためには、地場産業を支援し、いかに軌道に乗せていくかが重要な課題となる。

「私たちJICAがやるべきことは、地場産業を支援するための政策をつくり、グアテマラ経済の継続的な発展に寄与すること。しかし、政策を実現していくための各組織の連携体制が整っていなければ、それは絵に描いた餅に終わってしまう。まず必要とされたのは、組織間の脆弱なネットワークを見直すことでした」と内河さんは話す。

PROFIL開始以前は、同国では様々な組織が個々のポリシーに沿って地場産業振興に取り組んでおり、各組織による個々の支援が地域の成果に結びつきづらかった。この状況に対して、PROFILでは本邦研修の枠組みで、主要組織の代表者を含む計46人を日本に送り込んだ。研修では、一村一品運動の発祥地である大分県を始め複数の自治体を訪問し、一村一品運動やオンパクの事例から地場産業振興の取り組みを学んだ。

研修では2つの大きな収穫があった。一つは、日本発の一村一品運動やオンパクを学ぶことで、それらをグアテマラの地場産業振興における具体的な手法として取り入れることができたこと。そしてもう一つの何よりの収穫は、「これからは、日本のように自分たちの持っている知識や経験、地域資源を共有しながら一緒に活動していくことが必要」と彼ら自身が気づけたことだった。一村一品運動の考え方やオンパクなどのツールを足掛かりに、こうした連携体制を築けたこと自体が、PROFILにおける大きな成果だ。

地域住民の意識を変える

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