■初めて出会った二人が5年分の時間を埋めた“提案書”

顔を合わせることもなく結婚を決意した二人が、お互いの性格を難なく受け入れ、前向きな結婚生活を共に築こうと思えたのは今回の突飛な結婚までの道のりがあったからこそだと言います。

「もともと今回の企画に応募が来ることは理論上ありえないと思っていました」と笑いながら答える夫の紳也さん。「だけど、もし万が一来たら結婚するつもりでした。なぜなら、僕が本気で楽しんでいるこの企画に応募してくれる事自体が僕と合うことを意味するわけですから」。

その企画の面白さに強く感動したのが奥さんになったMさん。

「こんなに面白い企画に参加できるのは私しかいないと思ったんです。“恋人募集”なら珍しくもないですが“嫁募集”ですよ!本当はサイトを作って気持ちを全力で伝えようとも思っていたんですが、すぐに返信しなければと得意分野の資料作りでこの気持ちを伝えたんです」。

紳也さんからのプロポーズ提案書(提供:株式会社LIG)

このパワーポイントで作成された「提案書」こそが今回の秒速結婚のポイントだったと言います。提案書にはお互いが求めていること、送ってみたい結婚生活のイメージをはっきりと書かれているだけでなく、文章の書き方や考え方を通して相手の人となりが伝わってきたというのです。

もう一つ、竹内夫婦にとってのカギとなったのが、紳也さんが募集時に示した希望条件の一つ「会社の広報担当の方」というもの。ベンチャー企業で働く紳也さんにとって深夜遅くまでの残業や休日の出勤は当たり前。広報担当という条件には、「似たような職種、似たような性格、仕事に対する理解度」を持った方に応募して欲しいという思いが込められていたそう。

そうして、幾重にも用意されたフィルターを経て今回の「秒速結婚」が生まれました。PR会社で様々な企業の広報代行として働くMさんは、様々な条件に当てはまっただけでなく、他の応募者がメールで返信する中唯一パワーポイントの資料で返信しました。

「LIGの企画は確かにふざけています。でも、そこに意味を見出す人いる。彼女はまさにその人だったのです」

夫婦がそろって口にするのは「全く知らない人と結婚した感覚はない」ということ。お互いの気持ちや大切にしている事をしっかりと共有することで、5年付き合ったカップルと同等に、結婚に必要な相手のポイントを知ることができたのです。

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