若者の自殺が止まらない。政府が閣議決定した2013年版の「自殺対策白書」では、12年の自殺者数は約2万8000人で、15年ぶりに3万人を下回ったが、若者の自殺率は上昇している。20代の死亡者の半数は自殺で亡くなり、大学生の自殺者は1000人を超した。原因としては、就職難やいじめがあげられる。
この状況で、若者たちに何ができるのか。NPO法人キーパーソン21は、「子どもたちの明るい未来のために~若者の自殺と自立を考える~」を開催した。基調講演では、精神科医の香山リカ氏が「自殺しない心、自立したくなる心」というテーマで登壇した。
自殺を食い止めるための一つの手段として、「役割を感じること」の重要性を指摘する。近年では、東日本大震災がきっかけとなり、若者世代を中心に社会貢献思考を持つ人の割合が急激に上がった。「ボランティアをすることで自分の役割を見つけ、存在意義を見出せる」と香山氏は話す。
しかし、香山氏はこの風潮に警鐘を鳴らす。「今の経済状況によって、社会貢献思考を選択させられているとしたら、注意しなければいけない」と。自殺を食い止める働きもするボランティアだが、社会貢献の流行りは危険性もあると言う。その真意を聞いた。(聞き手・オルタナS副編集長=池田真隆)