プロジェクトでは今年の5月より、サシガメが生息しやすい日干しレンガで作られた家屋に対しての住居修繕を市役所と連携しながら進めている。日干しレンガの壁はひび割れが多く、そのひび割れにサシガメが好んで住みつく。住居修繕は、砂と土を混ぜ合わせたものを壁に塗ることでひび割れを塞ぎ、さらにその上から石灰を塗る。そうすることでサシガメは住む場所を失くし、住民のリスクを大幅に下げることができる。基本的に住民やボランティアによって修繕が施されるので非常に低コストで、より持続的な効果が期待されている。
「住居修繕はシャーガス病だけではなく、他の寄生虫症や感染症の予防にもなり、衛生的な効果もある。これは副次的なことですが、石灰を壁に施すことで部屋が格段に明るくなるんです。住民の目線で見るとシャーガス病は生活問題の一部でしかなく、住民たちが心配しているのは日々の生活のこと。生活の改善は、彼らにとっても重要なことなんです。もちろんプロジェクトではシャーガス病を扱っていますが、生活改善にまで踏み込んだ活動が徐々に動き出している」と吉岡さんは話す。
◆大切なのは継続させること◆