サシガメの生息状況を把握するためには、まずサシガメを探し出すことが必要となる。保健省の人手や予算は限られており、毎日現場を見て回ることは難しい。またサシガメは深夜に活動するため、一番見つけやすいのはそこで生活する住民たちなのだ。

住民がサシガメを探し、捕獲を実行する。捕獲されたサシガメは、各地域の保健センターに所属するボランティアなどを通して保健省に届けられる。保健省は届けられたサシガメを記録し、対策を立て、住民への訪問啓発・指導・殺虫剤散布等の対応を実施していく。こうしたサイクルを回すことで、サシガメの生息家屋率は確実に減っていく。

住民参加型の監視体制を築く上で重要なことが、大きく2つある。1つは、住民に対する啓発活動を行うこと。シャーガス病はその恐ろしさに反して周囲の認知度が低く、まずは正しい知識を身につけなければならない。サシガメを発見しても届け出をしなかったり、その場で殺してしまったりということも起こっているようだが、それでは正確なデータが把握できず、対応の遅れにも繋がる。もう1つは、住民が届け出たことに対して保健省がきちんと対応すること。業務のマニュアル化はもちろん、保健省の意識も変えていかなければならない。

お互いの行動が循環することがモチベーションとなり、それはプロジェクトの成功へと繋がる。現在は対象となっている北部5県49市のうち、44市でこれらの監視体制が導入されている。それらをどこまで定着させ、機能性を高めていくかというのは、プロジェクトにおける挑戦でもある。

◆住民たちの心配事◆

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