シャーガス病という病気をご存知だろうか。中南米特有の寄生虫症で、サシガメという吸血性カメムシを媒介して人間へと感染する。シャーガス病は感染しても目立った症状がなく、10~20年以上にも及ぶ長い潜伏期間の後に心臓肥大などを発症し、最悪の場合は死に至ることもある。感染後1~2カ月間の急性期に有効な治療薬はあるものの、感染に気付かずに慢性化すると治療は難しくなり、個人・ 社会への経済的負担が大きい。

中南米には750万人以上の感染者が存在すると推定され、米州保健機構(PAHO)はマラリアに次いで深刻な熱帯病であると位置づけている。そうした中、JICAは1991年よりグアテマラでシャーガス病研究に着手して以来、中米各国で技術協力を展開してきた。シャーガス病とは一体何なのか。ニカラグアで活動するJICA専門家、中村二朗さんと吉岡浩太さんに話を聞いた。

◆貧困層を襲うシャーガス病◆

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