2008年6月に誕生したランチトリップは、1、2カ月に一度レストランや大使館が会場となり、その国の料理を食べながらその国のことを学ぶ。毎回その国にゆかりのあるゲストを招き、メディアからの情報や観光で訪れただけでは知ることのできない、リアルな姿を伝えていく。
運営者である3人のことを「クルー」、ゲストスピーカーを「ガイド」、参加者を「パッセンジャー」、またイベント名を「○○(国名)便」と呼んでいる。クルーは客室乗務員の格好をし、イベント開始時には、実際の機内で流れるアナウンスに似たものを使用するという徹底ぶりだ。
そしてガイドの話を聞いたあとは、ワークショップでディスカッションを行う。例えばシリアやブータンの難民に話を聞いて改善方策を考えたり、ハワイは実際にパラダイスかどうかを検討したりする。表向きのイメージだけではなく、その国の良い部分も悪い部分も知った上で好きになったり、自分たちの生活を振り返るきっかけを作ったりしたいという。
松澤さんは「旅先を消費対象として見るだけではなく、一緒に考える姿勢を作ることを重視している。一番大事なのは知ろうとすることや、考え続ける姿勢」だと語った。
■きっかけとなった、ある事件