「育てるのにお金がかかる。火で燃やして、殺してしまえ」――これはネパールの子どもに浴びせられた言葉だ。その子どもは、唇や上あごが生まれつき割れてしまう先天奇形である「口唇口蓋裂(こうしんこうがいれつ)」を患っている。原因は分かっておらず、日本でもネパールでも、アジアでは500人に1人の割合で発症する。

日本では、生後3カ月から2年の間に手術を受けるので、後の人生に影響は及ぼさないことが大半だが、ネパールでは病院の少なさや、高額な治療費が原因で、手術を受けられない人が多くいる。

治療できないどころか、そもそも、ネパールでは、口唇口蓋裂が手術で治ることが認知されていない。この病気には、歴史的に差別があり、「母親が妊娠中に悪いことをしたから」、「前世の行いが悪かったから」などと言われている。

その見た目から、「学校に行けない」、「就職できない」、「結婚できない」など、生涯の重要なシーンで苦しむこととなる。食べることや、話すことにも支障がでる人もいる。

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