私たちの周りは情報やモノに溢れています。グローバル化がすすみ、世界中の商品がインターネットを使えばいつでも、どこででも購入することができるようになりました。
企業は次々とトレンドを生み出し、雑誌などメディアはそれを煽るように人々の意識の中に新しいトレンドを意識させていきます。そのサイクルはあまりにめまぐるしく、流行ったと思えばその半年後にはもう過去のモノとなってしまいます。
洋服も安さが求められ、ファストファッションという業態では格安で洋服が購入できるようになりました。そして、大量に生産され大量に捨てられていくという循環が生まれました。
日本を例にあげると、年間10キロの洋服を買い9キロをゴミとして捨てている計算になります。このような買い物は持続可能なのでしょうか?
私たちはそれを「ゆとり」と呼ぶ時代に生まれ、たしかに多くのものを選択できる恵まれた環境にいます。しかし、その溢れるたくさんの選択肢の中から、これだというものを選ぶ基準や軸がうまく定めきれていないように見えるのです。
そういったことから、私が考える真のかっこいい大人、かっこいいおしゃれができる人とは、モノの背景にあるものに気付き、それを自分の軸として持っている人です。
みんなが着ているから、雑誌で流行っているからという基準ではもちろんありません。危機に瀕する日本の縫製技術を守るために日本製にこだわるとか、ブランドの理念や思想に共感しているとか、素材がオーガニックコットンだからなど、自分のこだわりや基準を持っていること。
そういった商品には必ず原料調達や生産者との間に多くのストーリーがあります。そのストーリーも含めて購入した商品は、自分にとって世界に一つだけのものとなり、流行に左右されることもないでしょう。
そして、そのストーリーを誰かと共有することで、それは他の人にとっても大切なモノへと変化していくのです。かっこいいおしゃれとは、見た目だけではありません。その人の生き方を体現するものであり、身に付けるものから、それらはにじみ出てくるものではないでしょうか。(寄稿・日本財団 山崎美加)
・日本財団 http://www.nippon-foundation.or.jp/
・TOOTHFAIRY http://tooth-fairy.jp/
【山崎美加】
佐賀県唐津市出身。早稲田大学商学部卒業。フェアトレードや、エシカルコンシューマーに興味を持ち、2007年に渡英、英国リーズ大学でサステイナビリティ(ビジネス、環境、CR)学のマスターを取得。2010年より日本財団でファンドレイザーとして資金集めを担当する。取得資格:英国IEMA認定 サステイナビリティ(CSR)プラクティショナー、准認定ファンドレイザー、オーガニックコンシェルジュ