――紙カフェの特徴は?
松永:「紙でつなぐコミュニティ」をコンセプトに、レターセットや包装紙などの紙雑貨を販売する傍ら、お客さまに堺市の見どころをご案内しています。カフェとしてのメニューの目玉は、刃物の製作に必要な金属「玉鋼(たまはがね)」を使って焙煎した「堺珈琲」。刃物で有名な堺市ならではの手法で、キレのある、和菓子にも合うコーヒーに仕上げました。お抹茶碗で提供し、和菓子もお付けすることにより「刃物のまち堺」「茶のまち堺」「和菓子のまち堺」を演出しています。
田中:つーる・ど・堺の親会社ホウユウ(堺市堺区)は印刷業を手掛けています。そこで当店でも、オリジナルの名刺やポストカードの印刷を受注しています。開店4カ月後には、紙雑貨を通じて市内外の皆さんに堺市の魅力を再発見してほしいという思いから、当店オリジナルブランド「堺カミモノ」を立ち上げました。「印刷屋」同士の横のつながりで、スムーズに商品開発ができました。そのほか、紙と触れ合えるワークショップも開催していて、そこでつくられた豆本や折り紙細工の一部を店内に展示しています。
――紙にはどんな魅力があり、それをどう伝えていますか?
田中:情報を知るきっかけにしてもらうには、ネットよりもチラシやパンフレットなどの紙媒体の方がいいと考えています。目に留まりやすいうえに、手で触れることで印象に残りやすくなるからです。そのため、見た目が鮮やかで手触りのいい紙に情報を載せるようにしています。例えば、本の表紙などによく用いられる「レザック紙」。ホウユウでの印刷工程で余った分をランチョンマットとして再生して、堺市のマップを掲載しています。
松永:2011年12月から、ホウユウのガレージを利用した「ペーパーフリーマーケット」を半年に1回開催しています。ツイッターで呼び掛けただけで80人近くの方に参加していただいたこともあり、お客さまが紙雑貨を楽しそうに手に取っているのを見て、紙が好きな人は思った以上に多いのだと知りました。