今年で14回目となる、「札幌国際短編映画祭」のノミネート作品上映が、10月17日から開催されている。場所は札幌市中央区、狸小路5丁目にある札幌プラザ2・5。第1回は10月20日までで、開催初日である17日には既に多くのお客さんで賑わっていた。(オルタナS北海道支局=伊藤 綾里)
この映画祭では、104の国と地域から集まった3661作品ものショートムービーの中から厳選された62作品が上映される。これらの作品は、国際審査員に「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」の監督を務めた押井守監督、アメリカの大人気テレビドラマシリーズ「ゲーム・オブ・スローンズ」でVFXのスーパーバイザーを務めるステファン・ファングマイヤー氏、俳優のロバート・デニーロがはじめたトライベッカ映画祭にて上映作品選定を行っているベン・トンプソン氏という豪華メンバーを迎えて評価され、表彰作品を決定する。表彰作品は、11月2日から4日に掛けて開催される第2部で再上映される予定だ。
集められた作品のジャンルは様々。クスッとくるコメディからシリアスなノンフィクション、親子で見られるアニメ作品まで、幅広い世代が楽しめるラインナップとなっている。18日にはオールナイトプログラム、19日にはお酒を飲んで盛り上がれる酔っ払いプログラムもあり、大人の映画好きには堪らない企画も盛り沢山だ。
ジャンルごとに5〜6本が1プログラムに纏められており、チケットは1プログラム券が1,500円、3プログラム券が3,500円となっている。高校生以下は無料となっているので、放課後や休日に足を運んでみるのは如何だろうか。
詳しい情報は公式HPまで。
この映画祭では短編映画のみが上映される。短編映画の魅力とは何か、スタッフの声を聞いた。映画祭の運営に関わっている倉本氏は、「短編の良さは、インパクトのあるメッセージを伝えられること」と語る。
長編映画で数時間かけて語られるメッセージを、短編では数十分、短いものでは30秒で投げかけてくる。それ故に、インパクトのあるものになることが多いのだという。また、長編映画の監督とは異なった層の監督の作品を見られるのも魅力だ。
今年で三年連続ボランティアスタッフとして参加している学生は、作品一つ一つが短いために見やすいのも魅力だと言う。短編映画が大好きな彼は、「北海道でショートフィルムが見られるのはここくらいしかない。特に若い人達にはショートフィルムをどんどん好きになって欲しい!」と熱い想いを語った。
今回の取材に当たって、ノミネート作品の一つを監督した、空撮映像作家である伊藤広大監督に話を聞くことができた。伊藤監督は、ドローンなどで北海道の風景を撮影し映像作品を作成している。
彼は大変だった話として利尻島の撮影をする際に、麓で3日、山頂で2日間待った思い出を語った。撮れた映像はたったの40秒。それでも、その映像の美しさと撮影できた喜びは計り知れないものだったと言う。ドローンでの撮影技術によって、今まで人類が見たことのない場所を開拓できるのだ。
そのドローンや手振れを防止するカメラスタビライザーなどを販売しており、今回の映画祭のスポンサーでもあるHELICAM代表取締役である丹野氏は、これらの撮影機器を提供することによって映像業界を盛り上げたいと語る。同会社は、近日中にカメラスタビライザーを利用した映像作品コンテストも開催する予定だ。
これらの撮影機器を使用して伊藤監督が撮影した「オデッセイ ODYSSEY」は、10/20までは「N-C」にて、11/2からは「NATURE」のプログラムで見ることが出来る。自然の厳しさの中にある美しさを捉えた映像は必見である。
沢山のスタッフの熱い想いの元で運営されている国際短編映画祭では、今しか見られない沢山の魅力的な短編映画と出会うことができる。世代に関わらず、少しでも映画に興味がある方は是非とも足を運んでみて欲しい。