体験教室に参加したブラインドサッカーチームの「ブエンカンビオ横浜」に所属する内田佳さんは、「耳ではなく、おでこで聞くようにすること」と話す。「耳で聞こうとすると、左右どちらかの聞き耳で聞いてしまう。おでこを意識して、中心で聞こうとすると、声を正面から受け止められる」。

ブラインドサッカー体験は、コミュニケーションやチームビルディングを目的に企業研修や学校の授業でも行われる。松崎事務局長は、「上司が部下とのコミュニケーションを取れているのかどうかはすぐに分かる」と話す。

視覚がない状態で協力し合うので、言うだけではなく、相手の立場になって聞くことも必要だ。松崎事務局長は、「普段、一方的に言うだけで、部下からの意見を聞いていない上司は連携が取れずに浮いてしまう」と指摘する。内気な新卒も浮いてしまう。上司や先輩からの意見を聞くだけの若手社員は、指示を出すことがうまくできないからだ。

実際にブラインドサッカーを体験した参加者からは、「視覚がない状態で動くと、すごく疲れることが分かった」「多くの人の声が聞こえるので、聞き分けることに苦戦した」「チーム一丸とならないとゴールできないから、サッカーの原点に返れた」という声が聞かれた。

仲間の声を頼りにボールを探す。ボールには羽が入っており、音もなる

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