子ども機長として搭乗した山本行達(ゆうたつ)君(7)は、「本物の飛行機で旅行したことは今まで4回あったけれど、今回が一番楽しい旅行だった」と笑顔で答えてくれた。「一番良かったことは飛行機を運転できたこと。操縦は難しかったけど、本物の機長さんが優しく教えてくれた。空を飛ぶことがかっこいいから、将来はパイロットになりたい」と生き生きと話してくれた。
ANAが「模擬フライト」を行うのは今回で5回目。ボランティアスタッフを社内で募集したところ、多くの申込みが集まり、参加した44人以外で断った人もいたそうだ。普段の業務では子どもと話す時間がなかなか取れないが、「模擬フライト」を通してじっくりとコミュニケーションをとることで、笑顔の子どもたちと触れ合え、元気をもらったスタッフも多いようだ。「普段の業務ではお客さんを点と点で結んでいるが、その地域の人にも何かをしたい。子どもに元気になってもらい、夢をもって世の中に出て行ってほしい」と石橋さんは話す。
小児がんの新規発症者は1年間で2000人から3000人いると言われていて、決して少なくはない。萩原さんは「そういった子どもや家族ができるだけ一緒に普通の生活を送れるようにしていきたいです。たとえ病気と闘っていても、楽しみがあれば子どもも笑顔になり、前向きになれると思います」と話した。
注釈1:生活の質。楽しく豊かな人生を送ることを示す。特に医療分野では、患者の生活を向上させることで、患者の人間性や主体性を取り戻そうという考え方。