認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい(東京・新宿)は12日、生活困窮者を支援するため東京オリ・パラの選手村を宿泊場所として一部開放することを求めて東京都に署名を提出する。署名数は5万3千人以上。東京都には、野宿者が1126人、ネットカフェなどでの寝泊まりをする人が一日当たり約4000人いる。選手村を開放することは、住まいの提供や新型コロナの感染予防対策だけでなく、生活困窮者が住民票を得るきっかけにもなり、自立支援につながる。(オルタナS編集長=池田 真隆)
自立生活サポートセンター・もやいの大西連理事長は、「選手村の開放は、緊急的な宿泊支援になるだけでなく、住民票を得られるので、アパートなど新たな住まいへの移行にもなる」と強調する。
住む場所がないホームレス状態の人の自立支援を行うにあたり、重要なのが、「住民票の獲得」だ。住民票があることでアパートなどに住む契約や携帯電話を購入したりすることができ、自立支援の次のステップにつながる。
緊急事態宣言が解除され、「まんが喫茶マンボー!」や「漫画喫茶ゲラゲラ」など営業を再開したネットカフェやカプセルホテルやビジネスホテルがあるが、ここで寝泊まりを続ける限り、住民票を得ることができず、自立へつながらない。新型コロナによって収入が減った人に関しては、宿泊費をねん出できなくなって、野宿者になる可能性もある。
公的機関や民間が提供するシェルターなどに住めば住民票は得られるが、すでに定員で埋まっているという。そこで、自立生活サポートセンター・もやいでは3月29日からオンライン署名サイト「Change.org」で署名を集めていた。
東京オリ・パラの選手村は、東京中央区晴海にあり、1万7000人以上を収容できる宿泊施設がある。大西理事長は、「5万3人を超える多くの人から賛同を受けた。都には一部の棟や居室でかまわないので、緊急的な宿泊場所として開放してほしいと伝えたい」と述べた。
署名の提出は12日13時半ごろを予定している。
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