それから、人と話すことに苦手意識を持つようになる。「人の顔が見れなくなり、声が極端に小さくなった」と話す。自分に自信がなくなり、やりたいことも見つからなくなった。月に数回通っていたハローワークにも行かなくなった。
だが、年齢的にも自立しなければいけないとは自覚していた。「働きたいとは思わなかったが、自立するために金を稼ぎたいと思っていた」と話す。しかし、「仕事に就いたとこで、長続きするか分からないし、こんな中途半端な気持ちで飛び込んでみても良いものか」とためらってしまう。「腹をくくることができなかった」と振り返る。
「嫌いな仕事で、使い潰されることはしたくなかった。楽して稼げる仕事があれば良かったが、世の中にそんな仕事はない。だから、ためらってしまった」
3年の間に、政権が変わったり、サッカーワールドカップで日本が盛り上がっても、どこ吹く風だった。「へー。日本ってこんなことになっているんだ」という印象しか持たなかった。