広田町の方々にお会いして、震災や町についてお話してもらったり、農業と漁業を少しかじらせてもらったりと、まーいろいろあって。思うことがあって。ノートに書きつけてみたりして。そんな中で、ひとつの指標が見えた。
それは、「関わってくれた人たちを笑顔にしたい!」。広田町の人たちも、SETさんも、よくばり承知でみんなを笑顔にしたい。できる道はあるはず。そう思った。
しかし、連日連夜のミーティング。日中はミーティングの内容を念頭に置いての活動。楽しいけど、すっげーお疲れ笑顔。わー、こりゃまずい。笑顔の質、低下してる。笑顔にしたい、その大元が笑顔じゃないのに、周りを笑顔にすることはできない。
そんな状況のなか、ひとつ、投げられた質問。「笑顔にして、どうしたいの?笑顔にして終わり?」…たしかに。ただ笑顔にするならべつに難しい事じゃない。愛想笑いだって、考え方次第では笑顔だ。笑顔の先に何を残したいのか。
次の日の朝、もんもんとしながら、早くに目が覚めた。昨日の質問が、脳内に充満してる感覚。きっと今の自分のツラは、「誰かの笑顔」を考えるに相応しい顔してない…。おてんとさん拝んでこよーっと。ひとり散歩して。山道を登りきった先に見たのは昇る朝日。光る海。そして大好きな青空。
頭の中は気づいたらまっさらで。ノート取り出して、昨日の質問の答えを考える。笑わせて、はい、さよーならは違う。たしかにさようならの時は来るけど、その後も笑顔になったという事実を、その時のみんなの表情を、それぞれの心に残したい。
あー、つまりあれだ。落ち込んだ時とか、悲しみに沈んだ時に、うちらみんなで笑ったことをふと思い出して、暗い気持ちからちょこっと復活する、「心のおまもり」を作りたいんだ、って気付いた。
それからいろいろあったけど、割愛。最終発表で、自作した広田町のPRムービーを見せた時の広田町の人たちの表情、歓声、雰囲気。笑顔じゃん。やばー、顔からいろいろ出てきた。
見渡す限りの輝く表情。あの日見た海と同じだ。視界がきらきらしてる。おまもりになったんじゃないか、って勝手に確信した。質の高い笑顔。心のおまもり。想像もつかない涙のあとに、自分は、自分たちは、何ができたのか。そんなことを問い続けながら、誰かの心におまもりを、これからも作っていきたい。(山田祥子)