2011年の東日本大震災を機に、新しい生き方を求めて岡山県に移住したデザイナーや工芸作家、農家、パン職人らの暮らしを、独自の視点で切り取った写真集「IMMIGRANTS」が10月20日に発売された。写真家は、震災直後に東京から岡山に移住した中川正子氏で、カメラグッズを中心に扱うプロダクトブランド「octavus」(オクターヴ・神戸市中央区)が発刊したブランド初の書籍となる。(オルタナS関西支局長=神崎英徳)
 

被写体の暮らしの匂いを色濃く伝えるクローズアップが印象的

「IMMIGRANTS」は移民を意味する言葉だ。震災直後、迷いと不安の中で東京を離れ、親子3人で岡山に移住することを決意した中川正子氏自身の思いが色濃く投影された写真集だ。

慣れない土地での暮らしに孤独感を募らせる中、出会ったのが、同じような立場と心境で、関東から岡山へ移住してきた多くの人々だという。中川氏は「何かから逃げるという避難ではなく、自分の意志で新しい暮らしを一から築いていく移民、その希望の光の物語に迫りたい」と思いを語る。

被写体となる友人たちを訪ね、移住以降の生活や心境について時間をかけて話を聞きながら、ありのままの暮らしを撮影した一冊。写真集の発売に合わせ、「オクターヴ」のショールームである、兵庫県丹波篠山のギャラリーでは27日まで展覧会やイベントを開催している。