厚生労働省はこのほど、残業やパワハラなど労働環境が悪い企業を対象にした、いわゆる「ブラック企業の実態調査」の調査を終えた。特に悪質だったり、是正勧告を守らない企業については、年明けにも社名公表する方針だ。(オルタナS副編集長・池田真隆)

厚労省は2013年9月を「重点監督期間」として、当初予定の4000を上回る4千数百社に対してすでに調査を完了した。調査対象は基本的にこれ以上増やさないが、内部通報などがあれば順次対応していく。

厚労省がブラック企業調査に着手した背景には、今年6月に閣議決定された「日本再興戦略」がある。同戦略の中では、若者の活躍を推進することが記載されている。今回のブラック企業調査について、田村憲久厚労相は「若者を使い捨てにするような企業は無くしていきたい」として、違反企業は厳正に対処する方針を示していた。

今回の調査対象を選定する基準は「若者の離職率」。厚労省労働基準局監督課の梶原慎志氏は「調査する企業を選ぶ切り口を若者の離職率に絞っただけで、実際の調査は企業全体を見た。若者だけでなく、その企業で働く全ての人をチェックした」と話す。

調査企業のリストアップは、職業安定局の若年者雇用対策室が保有するデータを元に行った。各産業で離職率は異なるので、一概の基準値は設けず、産業ごとに離職者の多い企業から順にリスト化した。

調査では、社員のタイムカードやパソコンの起動時間などを調べ、サービス残業の有無を明らかにした。重大で悪質な違反が確認され、改善がみられない企業は、調査にあたった労働基準監督署が送検するとともに、社名や違反内容を公表する。