会員制転職サイト「ビズリーチ」は14日、NPO3団体の経営幹部公募の特設ページを公開した。募集している3団体の代表は、外資コンサル出身者で、ビジネススキルを生かして革新的な方法で社会的課題の解決に取り組んできた。仕事に社会貢献性を求める潮流が強まり、11月初旬に実施したビズリーチ会員への調査では、約9割が「NPO幹部職に興味あり」との結果が出ている。(オルタナS副編集長=池田真隆)

経営幹部を募集している3団体とは、先進国の肥満と途上国の飢餓問題解決を目指すTABLE FOR TWO International(テーブルフォーツー)、新興国へ社員を派遣する「留職」のクロスフィールズ、教育格差に取り組むTeach For Japan(ティーチフォージャパン)だ。

テーブルフォーツーの小暮真久代表とクロスフィールズの小沼大地代表は、マッキンゼー出身で、ティーチフォージャパンの松田悠介代表はプライスウォーター出身である。

テーブルフォーツーの小暮代表

テーブルフォーツーは2007 年設立され、社員食堂や店舗で同団体のヘルシーメニューを販売している。代金の内20円が寄付され、途上国の子どもへの給食1 食分となる。

気軽に社会貢献とメタボ予防ができることが人気を呼び、企業や官公庁、大学など約600団体が参加し、2228万食をアフリカ5カ国とミャンマーに届けた。

クロスフィールズの小沼代表(写真奥)

2011年に設立したクロスフィールズは、新興国への「留職」プログラムを実施する。企業の社員を数カ月間に渡って新興国のNGOなどに派遣し、本業のスキルを活かして現地の社会的問題の解決に向けて活動する取り組みだ。

企業ごとのニーズに即した派遣先の選定と業務内容の設計が可能。派遣前後の研修や派遣中の同行・フォローアップを通じ、現地活動の成果・学びを最大化する。これまでにパナソニック、ベネッセコーポレーションなど大手企業6社に導入している。

ティーチフォージャパンの松田代表

ティーチフォージャパンは2010年に設立された。教育格差をなくすため、優秀で情熱のある若者を選抜し、育成の上、学校現場に送り出す。2年間の能力開発支援と、2年後のキャリア選択支援を提供する。

同様のモデルが、アメリカ、イギリス、中国など世界30カ国で展開している。アメリカにある同団体は、2010年ビジネスウィーク誌の調査で、人文系就職先ランキングでグーグルやアップルなど大企業をおさえて1位となり、アメリカ社会に大きな影響を与えた。

今年11月、ビズリーチ会員1289人に対して行ったアンケートでは、「ビジネス経験をNPOで生かしたい」と回答した人は85%に及んだ。「転職してやりがいのある仕事ができるなら、年収が下がっても構わないか」という質問には、「(年収が下がっても)構わない」と答えた人は58%となった。

スキルをNPOやNGOで生かしていきたいと考えるビジネスプロフェッショナルが増えていることについて、ビズリーチの南壮一郎代表は、「海外では、行政、民間企業、NPO/NGO の3分野を人材が行き来し、NPO/NGOで事業を拡大させた経験を持つビジネスパーソンは高く評価され、キャリアアップしています。日本でも、革新的なビジネスモデルを持つNPO/NGO で成長し、キャリアアップとして民間企業に戻ることができる環境が必要となってくるのでは」と話す。

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