無印良品やスターバックスの食器をはじめ、日本の食器の15%が生産されている長崎県波佐見町で今、大きな注目を集める「松原工房」。女性4人で経営されるこの工房では、すべての商品がロクロから、人の手による絵付けを経て生産されている。この松原工房を主宰する奥田 容子さんによる「食器の読み方 -長崎県波佐見焼から見る日常食器-」というイベントが、札幌市のアートスペース、越山計画で開催された。(オルタナS北海道支局特派員=中尾岳陽)

松原工房を主催する奥田容子さん

「わたしたちが日常生活で使う食器。この食器の歴史や見方、「読み方」を知ると、毎日がもっと楽しくなりますよ」との言葉で始まったこのイベント。

最初に、日本の食器の歴史、また世界の食器の歴史のレクチャーから始まり、普段使っている食器が作られるプロセスを、ユーモアたっぷりに紹介した奥田さん。ほとんどの食器が、大量生産を可能にするために、液体状となった粘土を用意された型に流し込み作られているという。

イベントは始終、参加者の笑い声に包まれていた

奥田さんは、美術大学の陶芸科出身。しかし卒業後、日本の一大食器生産地である有田町で工業としての食器の生産を学ぶために大学校に通った。その理由を尋ねると、「食器というのは、工業品にこそより技術が反映されるものなのです。アートという言葉でごまかしてしまうのではなく、ほんとうの技術で勝負するためには工業品として食器を作らなければいけなかった」と話す。

「波佐見の生産現場で、地元のおばちゃんがパートでしている生産の技術なんてもうすごいものなんです。本人たちにその自覚はないんですけれどね(笑) 食器というのは、価格にその価値が反映されます。歴史と生産方法を知り、食器を読めるようになれば、とっても楽しいですよ」と言う奥田さんの言葉からは、彼女が感じるわくわくがにじみ出ている。

「服を選ぶように、食器も選んで、楽しんでほしい」と言う奥田さんが作る食器を、ぜひ多くの方に手に取っていただきたい。

松原工房HP:http://matubarakoubou.com/
越山計画HP:http://koshiyamap.blogspot.jp/