シーズクリエイトは、大阪府八尾市にある印刷会社です。B版輪転機を7台保有しており、新聞折込チラシの生産能力では西日本最大級を誇っています。そんな印刷事業とともに力を入れているのがCSR活動です。弊社の代表取締役 宮城の「社会が豊かになることによって私たちも豊かになれる」という想いのもと、産官学民と協働しながら、社会課題の解決に向けた様々なプロジェクトを進めています。(寄稿・シーズクリエイトCSR室所属 枡谷郷史)

■地域を知るには、中に入ってみたいと分からないこともたくさん

今回、お話するのは本社のある八尾地域でのプロジェクト「YAOLA(やおら)」です。YAOLAは、八尾の「ものづくり・風土・人々」を見つめ直し、その魅力を発信していく活動をしています。とは言え、このプロジェクトを始めるまでの約1年間は「まず八尾を知る」ことが必要でした。

本社が八尾市にありながら、地域との関わりが薄く、「本当に地域から必要とされる会社になるためには?」を考えながら、色々な人と会って話を聞いたり、場所に足を運んだりの毎日でした。そうしていく中で気づき始めた八尾の魅力、

・「当たり前のように良いものをつくる」職人さんの想いが根付くものづくり文化
・大都市と隣接していながら、今も残っている豊かな自然
・商店主と市民の会話が飛び交う昔ながらの商店街

どれも、誇れるものだと思いました。反面、これらの魅力に八尾市外の人はもちろん、市内の住民の多くが気づいていない現実も知り、寂しい気持ちになりました。「こんなにもたくさんの魅力がありながら、それに気づいていない、きちんと発信していない。ただただもったいない」と、この思いがきっかけとなり始めたのが「YAOLA」です。

■しくみや場を作るつなぎ役でありたい

活動事例として、魅力の一つである「ものづくり」にスポットを当てた取り組みをお話します。2013年9月8日に久宝寺緑地で行われた河内音頭まつりに、八尾市の産業PRの一環でYAOLAブースを出展しました。八尾市内約15企業のものづくり製品の展示&販売や廃材を利用したワークショップを行い、ブースを訪れた人々からは、

「この商品見たことあるけど、八尾で作られてたんだ」
「いつも使っていたけど、八尾生まれって知らなかった」

という声が多く、あらためて八尾の魅力を感じて頂きました。

この取り組みには廃材をたくさん活用しました。用途がない木の端材が、子どもたちの手で小さな椅子や棚に生まれ変わったり、廃棄されるはずの木製パレットが立派な展示台に生まれ変わったりと。実際に見て触れてみたり、角度を変えて見てみることで、今まで気づかなかったものづくりの魅力に気づいてもらえました。

YAOLAでは、新しい何かを作るのではなく、今ある魅力をつなぎ合わせたり、角度を変えて発信することで、それまで気づかなかった魅力をつくり出すことを大切にしています。モノをただ消費する社会ではなく、先人たちの技術、知恵が残してくれた魅力をあらためて見て、触って、感じて、気づき、その価値を共有する社会を作りたい、そう思っています。

YAOLAは、これからも、

・製品の裏側にあるものづくり職人さんの技術や想いを伝えていくことで、利用する人が
増えたり
・今まで機会が少なかったものづくり職人さんと商店主が出会うことで、新しい取り組みが始まったり
そういう仕組みや場つくりを通して、まずは八尾市民に身近な魅力を伝えたい。そして八尾から全国へ。「八尾って結構やるでしょ!」って自慢できる日がくるのを願っています。

「お金では得られない価値もたくさんある」

このように取り組みを進めていく過程で、たくさんの人に、

「なぜ印刷会社がCSR活動に力を入れているの?儲からないでしょうに・・・」

と聞かれます。取り組みとしてはまだまだ途上にありますが、少しずつ良い影響も出てきました。

・若年層の就職希望者が増えたり
・今まで関わることがなかった業界の方からお仕事を頂いたり

と、新しいビジネスの芽も生まれ始めています。

ものすごいスピードで変化していく社会環境において、これからの一企業の役割は?と
いうことを考えながら、本当に地域から必要とされる企業へ成長していきたいと思います。

シーズクリエイトの仲間と写る枡谷さん(写真左から2番目)

枡谷郷史(ますたに さとし):
株式会社シーズクリエイトCSR室所属。社会課題の解決に向けた様々なプロジェクトを進行中。最近では、八尾の「ものづくり・風土・人びと」を見つめなおすプロジェクト「YAOLA(やおら)」を立ち上げる。八尾の魅力発掘&発信のための仕組みや場づくりに取り組む。

株式会社シーズクリエイト HP:http://www.seeds-c.co.jp/
YAOLA HP:http://yaola.jp/