「イモが見えた!」「カエルがおったでー」――。子どもたちの元気な声が響く。耳を澄ませば、鳥や虫の声も聴こえてくる。ここは大阪都心にある、地上40階建て、高さ173mの連結高層ビル「梅田スカイビル」。その足元、約8,000㎡に拡がる「新・里山」で10月17日、地元にある中大淀幼稚園の園児63人がサツマイモの収穫作業を楽しんだ。(オルタナS関西支局特派員=土井 未央)

大阪駅から徒歩7分の梅田スカイビルに、子どもたちの歓声が響いた

大阪駅から徒歩7分の梅田スカイビルに、子どもたちの歓声が響いた

「新・里山」は2006年7月、日本の原風景である里山を手本に造成された。この地域の気候・風土に合う、昔からあった樹木を中心に植栽。造成から8年が経過した今では、500本を超える木や200種以上の草花が拡がり、多種多様の鳥や昆虫類、さらには絶滅危惧種の野鳥が訪れるなど、都会の中では珍しい、豊かな生態系が育まれている。

近隣で働く人や住民、観光客らの「憩いの場」として親しまれているこの都会の里山で、2007年から続く恒例イベントが近隣園児によるサツマイモ掘りだ。まず子どもたちの手で5月に苗を植え、10月に収穫という一連の農作業体験を通し、食とモノづくりや、自然との共生の大切さを学んで欲しいと、積水ハウスが教育支援活動として取り組んでいる。

この日、園児全員でサツマイモを80本収穫した。食べ方を聞いたところ「お味噌汁にする」「私は、焼き芋!」などの声があがり、自分で採った野菜を味わうという、食育にも繋がっていることが分かる。

サツマイモを収穫する中大淀幼稚園の園児たち

サツマイモを収穫する中大淀幼稚園の園児たち

収穫前には「新・里山」内で秋をみつける植物観察会を体験した園児たち。この日の案内役で樹木医の畑明宏さん(48)と、「畑さん、この落ちてる実は何?」「これはクルミの実です」など対話しながら、散策を楽しんだ。

「僕は畑先生じゃなく、畑さん。子どもたちには知識よりも、心で感じて欲しいと思っています。この体験をきっかけに、日常的に自然や生き物、野菜づくりに、自ら興味を示してくれるようになれば嬉しい」

子どもたちに大人気だった、案内役の畑さん

子どもたちに大人気だった、案内役の畑さん

豊かな感受性を持つことが、豊かな暮らしにも繋がると話す畑さん。「新・里山」は、草木や生き物だけではなく、子どもたちの心も育む場所になっている。11月13日にも、地元にある大淀小学校5年生による、稲刈り・稲架掛け体験が行われる予定だ。

◆「新・里山」の詳しい情報はこちら

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