東京都中央区にあるマンションで、バレエや習字教室などを開催し、地域住民とのつながりをつくり、孤立して子育てをする「孤育て」を解消する取り組みが行われている。2011年4月からマンションに併設した子育て支援施設で講座を開き、3万人以上が訪れた。NPOと不動産デベロッパーが協働する仕組みで、地域全体で子どもを育てる地域づくりを目指す。(オルタナS副編集長=池田真隆)

多くの子どもたちが参加したバレエ教室の様子

この取り組みは、不動産デベロッパーの東京建物と病児保育問題に取り組む認定NPO法人フローレンスが組んで行う。アパートメントタワー勝どき(東京・中央)に併設した子育て支援施設「グロースリンクかちどき」を設け、フローレンスが運営を担当する。

2011年4月から取り組みが行われ、今夏、プレイホールには来場者数3万人を突破し、ラーニングスペースで開講しているレッスンは30講座を超えた。子育てを通して、地域のつながりをつくり、「孤育て」を打破していく。

「孤育て」とは、夫や親族の協力も得られず、近所との付き合いもなく孤立した中で母親が子どもを育てている状態のことを指す。

子育てにおいて、親の孤独は虐待を生み出す傾向にある。厚生労働省の調査では、2012年度の虐待件数は前年度比11.5%増の6万6807件であった。1990年の調査開始以来、22年連続で増え続けている。

コミュニティーを育む仕掛けとして、「隣人祭り」「コーディネーターの存在」「多彩なレッスンの実施」の3つがある。地域住民と、バレエや習字など子どもから大人まで楽しめるイベントを開催し、交流するきっかけをつくる。イベントのプロデュースや交流を促進するのは、ボランティアのコーディネーターたちだ。来年4月には、運営開始から3年が経過するので、リニューアルや新規事業展開を考えている。

グロースリンクかちどき