ヤングケアラーという言葉を聞いたことはあるだろうか。ヤングケアラーとは、家族の介護を行う18歳未満の子どものことを指す。周囲に相談できる相手がいないことで孤立してしまいがちで、介護に追われ、進学先や就職先などを選ぶ際に、選択肢が限定されてしまう課題を抱えている。ヤングケアラー向けの就労支援サービスを立ち上げた若手起業家に寄稿してもらった。(寄稿・宮崎 成悟=ボーダレス・ジャパン)

ヤングケアラー向けの就労支援サービスを立ち上げた宮崎さん

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「ヤングケアラーという言葉をご存知でしょうか?」

あらゆる場でこの質問をしても、知っていると答える人はごく稀だ。

ヤングケアラーとは「家族に介護を要する人がいる場合に、大人が担うような介護責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートなどを行っている、18歳未満の子ども」のことを指す。

また、18歳〜30代の家族介護者を「若者ケアラー」といい、ヤングケアラーと同様に家族のケアをしている若者のことを指す。

総務省統計局「平成 29 年就業構造基本調査」によると、15〜29歳で21万100人、30〜39歳で33万人もの人が家族の介護をしている。

この調査はあくまで日本の就業構造を調べるもので、介護者の人数を調べるものではない。実際にはもっといるだろうと専門家たちは言う。

脳血管疾患の後遺症による半身不随や高次機能障害の親のケア。
統合失調症や躁鬱病のシングルマザーのケア。
若年性アルツハイマー型認知症の父親のケア。
難病の母のケア。
自閉症や重度心身障害のきょうだいのケア。
これまで様々なケースで介護をする当事者に会ってきた。

彼ら彼女らはどういった課題を抱えているのだろうか。
数々の課題が存在するが、特に「孤立」と「仕事」の2点が大きい。

周囲に相談相手がいないことで、社会的に孤立してしまう、というのが1点目。

社会全体から見れば当事者たちはマイノリティ。同じような境遇の人が側にいれば気軽に相談しあえるが、そういった人を見つけることは困難だ。介護経験がない同世代に話したとしても、なかなか理解してもらえない。そのうえ介護は、病気やお金などといった家庭内の事情が複雑に絡んでおり、カミングアウトしづらい内容だ。話した結果、気を使われるのが嫌で、あえて話そうとしない当事者も多い。

また、ヤングケアラーや若者ケアラーの認知度が非常に低いため、当事者のケアの状況に気づき、救いの手を差し伸べる大人が少ない。

2点目は仕事。

介護離職者が年間10万人ほどいるのは、社会問題として広く知られているが、そのうちの約2万人が実は40歳以下の若者であるということは、ほとんど知られていない。

もちろん介護離職の問題は年齢に関わらず深刻で、全体的に解決すべき問題だ。
しかしここでは、中高年層と20〜30代の若年層では事情が少し異なるという部分に着目したい。

20〜30代という年齢は、夢に向かって何かを頑張っていたり、目指すキャリアに向けて仕事に必死になっている年頃だ。介護によって仕事を辞めるということは、それらを諦めることに等しい。

キャリアだけでなく、結婚や出産、育児などの様々なライフイベントを控えた若者が仕事を辞めて介護で家に篭り、社会から断絶されてしまうと、そういったライフイベントも諦めてしまいかねない。

理想と現実が大きく乖離した時に人は絶望するというが、若いがゆえにその状況が生まれやすい。

上記の2点の問題を解決するために、Yancle(ヤンクル)というサービスを立ち上げた。
介護経験のある転職エージェントが、介護と仕事に不安を抱える若者と、介護に理解のある企業を繋げるサービスだ。

1点目の相談しづらい点に関しては、家族介護経験のあるエージェントだけが対応することで、同じ境遇の仲間として相談してもらいやすい環境を構築。
2点目の介護離職の問題に関しては、介護に理解があり、介護をしながらでも働ける「介護フレンドリー企業」を集め、そこに就職してもらうことで解決できる。

20年前、ワーキングマザーやイクメンという概念は存在しなかった。
それが今や子育てをしながら働くことがむしろスタンダードになっている。
介護をしながらでも働くことができ、むしろそれが当然と言われるような、新しい社会と家族のかたちを築きあげることが、Yancleのミッションだ。

<転職支援サービス「Yancle」について>
家族を介護している20~30代の転職支援サービス「Yancle」




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