中越パルプ工業は、紙の生産者という立場から環境保全に取り組む企業だ。燃料の削減やバイオマス化だけでなく、100%竹を原料とした「竹紙」を作ることで放置竹林の問題を解決しようとしている。減らすだけでなく、必要に応じて積極的に「使う」エコとは一体どのようなことなのか。(オルタナS特派員=佐藤理来)

「竹のようにすくすく伸びる」として、成長記録を竹紙につけることはうってつけ

放置竹林の問題は主に他の植物への影響として現れる。担い手の不足などによって放置された竹林は、根からの侵食によって近隣樹木の成長を阻害する。それだけでなく、高い背丈に隠されて陽光を遮られる植物も多い。

これらを防ぐには竹林の定期的な手入れが必要であり、また成長が速いため間伐で大量の竹が発生していた。用途がなければこの竹はすべてごみになってしまう。一方、積極的に消費すれば竹林は資源になる。

これまで竹の用途には建築や工芸などの資材があったものの、安価な中国製品や代替資材の普及などによって衰退していた。竹炭を筆頭に新しい活用法が編み出されている分野だ。竹は紙本来の原料としては不向きな性質を持っており、開発にはなかなかの苦労があったという。