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日本が産油国になる日は近いかもしれない。

「オーランチオキトリウム」という 藻類(そうるい)が、 他の藻類より約12倍の生産効率で炭化水素を生成することが発表され、次世代エネルギーの有力株として話題沸騰中だ。

オーランチオキトリウムは、藻類研究の第一人者である筑波大の渡邊信教授が、2009年に沖縄で採取したもの。

従来は、ボトリオコッカスという藻類で炭化水素生産が研究されていたが、オーランチオキトリウムの生産効率はその約12倍。ボトリオコッカスでの1リットルあたり炭化水素生成コストが、原油価格の3~10倍だったのに対し、オーランチオキトリウムを用いると、原油価格と同等もしくはそれ以下までコスト低減が見込めるという。

さらに注目すべきは、車や飛行機など既存のインフラで利用できる点だ。オーランチオキトリウムが生成するのは石油と同じ炭化水素なので、石油に代替して利用することが可能になる。試験段階ではあるが、燃料としての利用は始まっているという。

日本で輸入している石油は2億トンといわれ、エネルギー自給率は4%に満たない。渡邊教授は、全国の耕作放棄地の約5%である2万ヘクタールを活用すれば、2億トンは全てまかなうことができると意気込む。

その実現には1000億円の資金と、実用化までに6年~10年かかるというが、原発問題で一気に脚光を浴び始めた次世代エネルギーのこれからに期待したい。(オルタナS副編集長 高橋遼)