インドネシアでは、19の職種で外国人労働者の雇用を制限し、外国人の雇用条件の厳格化が進んでいる。自国労働者の保護や若手の人材育成が目的と捉えられるが、新規参入を図る外資系企業は、優秀な現地人材の獲得に悪戦苦闘している。(オルタナS編集部員=伊藤由姫)

近年、インドネシアでは外資系企業の参入増加が目立っていた。従来、外国人労働者を雇用するには、就労ビザ、雇用許可の取得、インドネシア人労働者の技術開発促進のための技能開発基金の納付が義務付けられていた。

しかし、厳格化によって、就労ビザの発給が非常に難しくなった。そのため現在、インドネシアで外国人が働く場合、5年以上の就労経験もしくは能力を証明する認証とインドネシア語でのコミュニケーション能力が求められるようになり、外国人労働者にとってインドネシアでの労働ハードルは非常に上がった。

また、新たに制限された19の職種をみると、人事や雇用管理に関する職種が多いことがわかる。そのため、実質外国人労働者が採用時や最終的な採用決定などの権限をもつことはできない。しかし、これらの職種でのインドネシア人経験者はとても少ないため、新規参入企業は頭を悩ませている。

このような厳格化の背景には、インドネシアでの若年者の失業率が高いこと、大卒の割合が低く、またたとえ高学歴でも職にありつけない割合が高いことなどがある。そのため増加する外国人労働者の雇用を制限することによって、国内のとくにマネジメント職の人材育成が期待されてはいるが、人材調達の時点で苦慮している新規参入企業が多く、人材育成にはまだまだ課題は多いと言える。