2012年に設立された一般社団法人72時間サバイバル教育協会(大阪市北区)は、小学生を対象に「72時間サバイバルキャンプ」を行っている。災害発生後72時間を超えると生存率が大幅に下がると言われており、参加者はこの72時間を生き抜くための実践的なスキルやマインドを養う。設立3年目となる今年、同協会では高校生から社会人までを対象とした、参加者をサポートする指導者の育成に力を入れる。(オルタナS関西支局特派員=穴吹 美緒)

キャンプに参加し、応急手当をする子どもたち(奈良県五條市)

72時間サバイバルキャンプでは、災害後のライフラインが不安定な状態を想定し、水や食材の調達、寝床の確保、応急手当を行う。参加者には、あらかじめ決められた分量の水と缶詰など非常食が与えられ、調理や洗顔に使用する水の量や、食事をとるタイミングも各自でコントロールする。

子どもたちはみんなで話し合って、火を起こして温かい食事を作ったり空き缶を調理道具に代用したりと工夫を凝らす。前回参加した小学生は「寒さをしのぐために寄り添って就寝した。他の人と協力することが大切だと感じた」と話す。

72時間サバイバル教育協会は、NPO法人JAE(大阪市北区)、NPO法人のあっく自然学校(大阪府枚方市)、NPO法人JOEA(大阪府枚方市)が大阪の課題解決を目指す人が集う「大阪を変える100人会議」で意気投合し、2012年に設立された。

「東日本大震災の後、多くの親子が離ればなれになった。災害発生後から72時間は、行政の救助や支援が行き届かないだけでなく、家族に会うことも容易ではない」と事務局長の髙井啓大郎さん(39)は話す。同協会では災害時に一人でも多くの子どもが自力で生き抜けるように、自分で考えて行動する力の習得を目指す。

設立3年目となる今年は、72時間サバイバルキャンプで子どもたちをサポートする指導者育成にも力を入れる。指導者は、事前にサバイバルスキルやコーチングスキルの研修を受け、子どもたちと一緒にキャンプに参加して実践を積む。次回の72時間サバイバルキャンプは秋に開催予定だ。ぜひキャンプに参加して生き抜く力を学んではどうだろうか。

一般社団法人72時間サバイバル教育協会ホームページ
http://72h.jp/